原子力産業新聞

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原子力文化財団が世論調査 「原子力発電の積極的な利用」が増加へ

28 Mar 2023

「今後の原子力発電の利用に対する考え」の推移(原子力文化財団発表資料より引用)

日本原子力文化財団はこのほど、「原子力に関する世論調査」の2022年度調査結果を発表。「今後日本は、原子力発電をどのように利用していけばよいと思うか」との問いに対し、「原子力発電を増やしていくべきだ」と「東日本大震災以前の原子力の状況を維持していくべきだ」を合わせた回答(増加・維持)は17.4%、「原子力発電は即時、廃止すべきだ」との回答は4.8%と、2014年度の調査以降で、それぞれ最大、最小となり、「原子力発電の積極的な利用」を支持する意見が増加傾向にあることが示された。

今回の調査で、原子力発電の再稼働に対する考えについて(複数回答可)、最も多かったのは「国民の理解は得られていない」(46.0%、前年度は46.3%)で、「電力の安定供給を考えると、再稼働は必要」(35.4%、同30.0%)がこれに次いだ。

また、「原子力やエネルギー、放射線の分野において関心のあること」については(複数回答可)、「地球温暖化」(52.8%、同50.5%)を筆頭に、「電気料金」(48.3%、同30.0%)、「日本のエネルギー事情」(39.1%、同31.5%)がこれに次いだほか、「電力不足」や「災害による大規模停電」をあげた人も多く、エネルギー安定供給への関心の高まりが示される結果となった。

さらに、最近の原子力やエネルギーに係るニュースに関して尋ねたところ(複数回答可)、「気になる事柄」として、約7割の人が地球温暖化による気候変動が自然環境・暮らしに与える影響を、ほぼ半数の人がロシアのウクライナ侵攻に伴う日本のエネルギー需給への影響を回答。一方で、総理による原子力発電利用に関する発言をあげた人は2割未満にとどまった。

今回の調査では、福島第一原子力発電所で発生する処理水の海洋放出についても質問。汚染水の発生・浄化、処理水の海洋放出時の希釈、取り除くことのできないトリチウムの性状、風評対策など、14項目の認知度に関し、「どの項目も聞いたことがない」、「どの項目も説明できない」という人がそれぞれ約3割、約8割に上っており、「汚染水をそのまま海洋放出する」と誤解している可能性があることなどが示された。

原子力やエネルギーに関する情報源に関しては、年代による差が顕著に表れており、新聞をあげた人は、44歳以下では30%を下回っていたが、45歳以上では5割を超えていた。若年世代(24歳以下)では学校、Twitterが高く、高齢世代(65歳以上)では近年、インターネット関連の回答が増加し、マスコミのニュースサイトをあげた人は他の年代を凌ぎ約2割に上っていた。

「原子力に関する世論調査」は、同財団が原子力に関する世論の動向や情報の受け手の意識を正確に把握することを目的として、2006年度より継続的に実施しているもの。今回、2022年10月に調査を実施し、全国の1,200人(15~79歳の男女)から回答を得た。

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