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文科省の革新炉検討会が提言 新たな高速炉開発も

29 Mar 2023

文科省の革新炉検討会の主査を務める山口氏

文部科学省の「次世代革新炉の開発に必要な研究開発基盤の整備に関する検討会」(主査=山口彰・原子力安全研究協会理事)は3月28日、高速炉および高温ガス炉を中心に今後、開発に必要となる研究開発・基盤インフラの整備に向け提言を発表した。昨秋より、資源エネルギー庁の革新炉ワーキンググループにおける議論などを踏まえ検討を行ってきたもの。

  • 高速炉 今後の実証炉開発の進め方を整合するよう、実用化・高度化に必要となる基盤インフラに関する具体的な整備計画について政府のロードマップにおいて明確に位置付けていくべき
  • 高温ガス炉 熱利用などの可能性を実証する研究を実施するとともに、エネルギー・産業システムでのニーズと貢献について検討していくべき

――と提言している。

高速炉に関しては、日本原子力研究開発機構による「新高速中性子照射炉を中心とする原子力イノベーション構想」が盛り込まれた。「社会ニーズに対応した高速炉で実現可能な新機能を実証する新たな試験施設」をコンセプトに、

  1. 放射性廃棄物の減容・有害度低減
  2. 再エネ協調(小型高速炉を実用化し再エネを補完する調整電源として活用)
  3. 国民福祉向上への貢献(高速実験炉「常陽」と2基体制で医療用RIを安定的に供給)
  4. 高速炉技術基盤の確立

――の実現を目指すもの。原子力機構の整備計画によると、新たな「新高速中性子照射炉」は、熱出力100MW、MOX燃料装荷、安全技術となる受動的炉停止設備の適用などを基本仕様とし、近く再稼働を目指す「常陽」の実証データや新燃料製造施設の整備などを踏まえ、2030年代半ばの運転開始が見込まれている。一方で、今後の高速炉技術基盤の確立に向けては、設計・建設・運転の技術スキルの維持・継承、人材の維持、サプライチェーンの再構築が課題となっており、「早期に炉を建設・運転する」ことが求められている。

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