規制委が原電と意見交換、村松社長「パイオニア精神」を強調
30 Jan 2020
原子力規制委員会は1月29日の臨時会合で、日本原子力発電の村松衛社長らと意見交換を行った。同委が事業者の経営トップを順次招き実施しているもの。
村松社長は、「安全に対するモチベーション向上は当社の重要な経営課題」として、安全文化の育成に向けたレベルアップ活動など、自主的安全性向上の取組の強化について説明。その中で、「現場力の維持・向上」に関して、約9年間のプラント停止により、運転の経験者が減少・高齢化してきたほか、保修部門についても、福島第一原子力発電所事故後3年間の新卒採用中断を受け、若手とベテラン社員とがペアを組む教育訓練「現場ブラザーシスター制度」で年齢ギャップが生じていることをあげ、技術伝承の困難さを示唆した。2018年12月に東海第二発電所で発生した作業員の感電死亡事故を踏まえた対策としては、中堅社員による若手工事監理員への指導や協力会社とのコミュニケーション推進などを通じ、再発防止の徹底を図っているとした。
東海第二発電所は2018年11月にBWRでは初めて運転期間の20年間延長が認可されており、村松社長は、委員との質疑応答の中で、国内初の商業炉である東海発電所(GCR:ガス冷却炉)の廃止措置とともに、「パイオニア精神を発揮していく」との姿勢を改めて示した。東海第二発電所については、2022年12月の完了を目指し安全性向上対策工事が進められている。
また、村松社長は、原電の取組として、米国のエナジーソリューションズ社やエクセロン社との交流を通じたプラントの経年劣化や廃止措置、小型モジュール炉(SMR)開発に関する知見取得など、海外事業者との連携について紹介。「新しいものに関心を持つことは、若手のモチベーションにつながる」と強調した。これに対し、更田豊志委員長は、IAEAからSMRに関する規制の枠組への参加を求められたことを述べ、北米におけるSMR開発の進展状況などを尋ねた。
この他、地震・津波に関する審査担当の石渡明委員が昨秋の大型台風を踏まえた気象災害への備えを、バックエンド担当の田中知委員はGCRの炉解体に関する英国の知見活用を指摘した。