日立の重粒子線がん治療システム 台湾初の稼働
16 May 2023
台北栄民総医院重粒子がん治療センター(左)と治療室(日立発表資料より引用)
日立製作所は5月16日、台湾・台北栄民総医院に納入した重粒子線がん治療システムが15日から治療を開始したと発表した。台湾では初めての重粒子線がん治療システム稼働となる。また、陽子線がん治療システムでこれまで多くの海外納入実績を積んできた日立にとっても、今回の重粒子線がん治療システムは、初めての海外での治療開始となった。〈日立発表資料は こちら〉
日立の発表によると、同システムは、台北栄民総医院の新しい重粒子線がん治療センターに設置され、水平・垂直方向からの照射が可能な治療室を2室完備。呼吸に伴う臓器の動きを捉える動体追跡技術と、腫瘍の形状に合わせて重粒子線を照射できるスキャニング照射技術を搭載している。納入先の台北栄民総医院は、台湾有数の医学センターとして世界でも高い知名度を有している。
台湾のメディアによると、同地域内で、2020年にがんを発症した患者は前年比725人増の121,979人、前年より1秒縮まった4分19秒に1人のペースでがんに罹患している計算だという。今回の重粒子線がん治療システムの稼働開始により、訪日して治療を受けるより費用が安くあがり言葉の壁もなくなるといった期待の声も上がっている。
昨今、国内メーカーによる重粒子線がん治療システムの海外展開が顕著となっており、4月末には、東芝エネルギーシステムズが韓国・延世大学校医療院に納入した装置が治療を開始した。