電事連 燃料サイクルの完結目指す
06 Jun 2023
プルサーマルの実施状況(資源エネルギー庁発表資料より引用)
電気事業連合会は6月2日、「原子燃料サイクルの早期確立に向けた事業者の取組について」を発表した。「資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する」とする国の基本的方針を踏まえ、改めて、
- 原子燃料サイクル事業の着実な推進
- プルサーマルの推進
- 使用済燃料対策
- 最終処分および廃止措置の取組
- 地域振興
――に係る取組方針を示し、「事業者間の連携をより一層強化し、整合的・総合的に進めていく」としている。
六ヶ所再処理工場(2024年度上期のできるだけ早期にしゅん工予定)および MOX加工工場(2024年度上期しゅん工予定)の早期しゅん工と、しゅん工後の安全・安定操業に向けては、「原子燃料サイクル確立に向け極めて重要」と認識し、日本原燃の活動を全面的に支援。プルサーマルの推進に向けては、電事連が2020年、22年にそれぞれ策定した新たなプルサーマル計画、その推進に係るアクションプランに基づき、2030年度までに少なくとも原子炉12基でのプルサーマル実施を目指すとともに、事業者間で保有するプルトニウムを交換することなども計画的に進め、「プルトニウムバランスの確保」に責任を持って取り組む。
プルサーマル発電に伴い発生する使用済MOX燃料については、5月19日に国内の原子力発電事業者11社がフランス・オラノ社とも協力し再処理実証研究の実施に向けた取組を進めることを決定。今回、発表した事業者の取組では、2030年代後半頃の再処理技術が確立するまでの間、「使用済MOX燃料は適切に貯蔵、管理し、具体的な貯蔵、運搬方法についても検討を進める」ことも述べている。
総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会で委員長を務める山口彰氏(原子力安全研究協会理事)は、5月23日に日本原子力文化財団が開催した記者懇談会の場で、原子燃料サイクルの進捗状況に関し、「なかなか芳しくないのでは」と問題意識をにじませた上で、使用済燃料対策や最終処分の取組など、バックエンドに係る議論がまだ不十分なことを指摘。海外の動向にも言及しながら、地道に成果を積んでいくことや国民的関心を高めていく必要性も示唆した。