原子力産業新聞

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科学技術・イノベーション白書 「RI国産化」「核融合」なども盛り込む

21 Jun 2023

白書の特集「地域から始まる科学技術・イノベーション」をイメージした表紙・裏表紙(文科省発表資料より引用)

2023年版の科学技術・イノベーション白書が6月20日、閣議決定された。法令に基づき、政府が科学技術・イノベーション創出の振興に関して講じた施策を年次報告するもの。

原子力の関連では、まず、内閣府原子力委員会が2023年2月、5年ぶりに改定を行った「原子力利用に関する基本的考え方」について記載。基本的考え方では、原子力のエネルギー利用のみならず、福島第一原子力発電所事故の反省と教訓、国際協力、核不拡散・核セキュリティの確保、国民からの信頼回復、廃止措置・放射性廃棄物への対応、放射線・ラジオアイソトープ(RI)利用、研究開発、人材育成といった幅広い分野に関する理念・基本目標が示されたとしている。

原子力基礎・基盤研究開発に係る最近の施策としては、原子力委員会が2022年5月に策定した医療用RIの国産化を目指す「医療用等RI製造・利用推進アクションプラン」について記載。同委では、今春より同プランの進捗状況につき有識者からのヒアリングを実施している。この他、革新的な原子力技術の開発として、「GX(グリーントランスフォーメーション)に向けた基本方針」(2023年2月閣議決定)に盛り込まれた新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設が、原子力人材の育成・確保としては、教育にも資する「もんじゅ」サイトを活用した新たな試験研究炉の詳細設計(2022年3月~)についてそれぞれ記載された。

また、核融合分野については、ITER(国際熱核融合実験炉)計画における日本の物納実績、これを補完・支援する日欧協力の取組「幅広いアプローチ活動」の一つ「JT-60SA」(茨城)の実験運転(2023年5月30日に再開した)に向けた調整など、研究開発の進捗の他、内閣府が産業化を見据え2023年4月に策定した「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」について記載している。

今回の白書では、特集「地域から始まる科学技術・イノベーション」と題して、地域に根ざす大学・高専、自治体、企業が各々の強みを活かしつつイノベーションを創出し「地域の魅力」の拡大に取り組んでいる事例を紹介。東北大学他が2024年度稼働予定の次世代放射光施設「ナノテラス」(宮城)を中心に整備を進めるサイエンスパーク構想などが取り上げられている。

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