規制委 柏崎刈羽の核物質防護事案受け東電の「適格性」再確認へ
23 Jun 2023
東京電力より説明を受ける原子力規制委員会(前列左より、山中委員長、田中委員、杉山委員、伴委員、石渡委員、インターネット中継)
原子力規制委員会は6月22日、臨時会合を開き、柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護に係る不適切事案に関し、東京電力による改善措置活動の進捗状況について、小早川智明社長らよりヒアリングを行った。
柏崎刈羽原子力発電所については、2021年3月に、原子力規制検査の対応区分が「第4区分」(事業者が行う安全活動に長期間にわたる、または重大な劣化がある状態)から、「第1区分」(事業者の自律的な改善が見込める状態)に改善されるまで、燃料移動禁止命令[1]特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令、事実上プラントが運転できないが規制委員会より出されている。同委では、2023年4月までに延べ3,500人・時間に及ぶ追加検査を実施。各委員の現地視察も踏まえ、5月17日、対応区分は「第4区分」のまま、追加検査を継続することを決定した。
22日の会合で、小早川社長は、是正措置命令発出後の2年間を振り返り、「経営陣が自分事として真剣に取り組む姿勢を貫く」意思を改めて示した上で、規制委員会が確認方針としている
- 強固な核物質防護の実現
- 自律的に改善する仕組みの定着
- 改善措置を一過性のものとしない仕組みの構築
――の改善措置サイクルを回す必要性を強調。さらに、「現場の管理者、担当者、協力企業との距離を近付けることが大事」と述べ、現地・現物を自ら把握し経営トップとしてリーダーシップを発揮していく意向を示した。〈東京電力・小早川社長発表資料は こちら〉
一連の説明を受け、核セキュリティ担当の田中知委員が、残る課題とされている4項目、「正常な監視の実現」(不要警報の低減など)、「協力会社を含む気付き事項の取り上げ」、「核物質防護基本マニュアルの運用」、「改善措置の継続的な実施」の達成見込みについて質問。これに対し、小早川社長は「7月中を目処に形を作りたい」と応えた。また、自然ハザードに関する審査担当の石渡明委員は、不要警報の低減に関し、柏崎刈羽原子力発電所の厳しい自然環境(大雪、砂嵐など)から、「思わぬ現象も起きうる」として、侵入検知設備の設置場所など、ハード面の対策に限界があることを示唆。荒天時の特別な体制整備など、ソフト面の対策にも言及し、「自然現象への対応に、これで十分ということはない」として、継続的に改善を図っていく必要性を指摘した。
山中伸介委員長は、核物質防護の取組を原子力安全確保に活かす考えから、柏崎刈羽原子力発電所の保安規定変更を検討するよう東京電力に求めた。また、同社退席後、委員長は、今後の命令解除の議論を見据え、柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可時(2017年12月)に行った「原子炉設置者としての適格性」に関し、改めて技術的観点から再確認する方針を固め、その具体的方法の検討を原子力規制庁に指示した。
脚注
↑1 | 特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令、事実上プラントが運転できない |
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