原子力産業新聞

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福井県知事 バックエンドで国の考えを再確認へ

26 Jun 2023

県議会に臨む杉本・福井県知事(インターネット中継)

福井県の杉本達治知事は、6月23日の県議会本会議で、12日に電気事業連合会・関西電力が発表した使用済燃料のフランスへの搬出計画に関し、「県として、改めて政策当事者である国の評価や、その具体的理由等について確認するとともに、立地市町や県議会の意見も聴いた上で、総合的に判断していきたい」と述べた。6月の定例会開会に際し、県政を巡る課題の一つとして、原子力のバックエンド対策に関し発言したもの。

電事連は5月19日、プルサーマル発電で発生する使用済MOX燃料に関する再処理実証研究の実施に向けた取組を、国内原子力事業者により進めることを発表。使用済MOX燃料を商業用プラントで再処理した実績を有するフランス・オラノ社他との協力で行うもの。6月12日には、その実証に必要な数量として、関西電力より使用済MOX燃料約10トンと使用済ウラン燃料約190トンを、2020年代後半にフランスに搬出し、2030年代初頭に再処理実証研究を行うことを発表。同日、関西電力は、福井県に対し本件について報告を行い、「使用済燃料が福井県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義がある」との考え方を示した。同社は、2021年2月に、福井県外における中間貯蔵について、「2023年末までに計画地点確定、2030年頃に操業開始」とする使用済燃料対策推進計画を発表している。

福井県議会は、6月23日の夕刻、全員協議会を開催し、資源エネルギー庁の小澤典明次長を招き質疑応答。小澤次長は、使用済MOX燃料の再処理について、エネルギー基本計画の示す「2030年代後半の技術確立を目途に研究開発を進める」ことなどを踏まえ、今回の電事連・関西電力による発表に関しては「使用済燃料の搬出を確実に行う手段として評価できるもの」と説明した。西村康稔経済産業相も13日の閣議後記者会見で、同様の見解を示している。これに対し、議員からは、核燃料サイクル政策・事業に関し、使用済燃料のサイト内貯蔵容量のひっ迫、六ヶ所再処理工場のしゅん工遅れに係る問題の他、原子力政策の責任所在を問う声、県民へのわかりやすい説明を求める意見などが出された。

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