原子力産業新聞

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原子力学会・新堀会長が就任

06 Jul 2023

新堀会長©原子力学会

日本原子力学会の会長に就任した新堀雄一氏(東北大学大学院工学研究科教授)が7月4日、記者会見を行い、抱負を述べた。新堀会長は6月開催の同学会通常総会で選任された。

新堀会長は、就任挨拶の中で、昨今の国際情勢や環境問題を背景としたGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた取組を、「原子力の利用において大きな追い風になり、いわゆる次世代革新炉についての議論も一層盛んになっている」と歓迎。一方で、「着実な軽水炉の再稼働」を第一に、核燃料サイクルの早期実現、廃止措置や廃棄物の管理・処分を着実に進めていく必要性を強調。その上で、今後、重点を置く取組として、

  1.  福島第一原子力発電所事故に係る学術的提言の発信、復興に向けた学協会連携の活動
  2.  会員の持つ専門知を多様な考え方を持つ人々に伝えていくこと
  3.  未来に向けた原子力学会のあり方について学際的に議論を深めること

――をあげた。

福島の復興と廃炉の推進に向け現在、36の学協会が連携して活動する「福島復興・廃炉推進に貢献する学協会連絡会」(ANFURD)については、引き続き幹事学会として、理工系の学協会だけでなく、社会科学系の学協会もメンバーとする体制拡大を検討。未来に向けた原子力学会のあり方については、同学会の若手連絡会・学生連絡会とも連携を図る。

新堀会長は、原子力分野の幅広い専門知識・用語に関連し、専門家間でも依然と「言葉が通じないことがある」と指摘。その中で、高レベル放射性廃棄物の地層処分に関し、「移行抑制」という言葉が専門分野によって認識が異なることを一例にあげた上で、一般の人たちの理解も見据え、「専門家同士が対等に議論し合える」素地を築くべく、特別専門委員会で検討していく考えを述べた。

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