東京電力 核セキュリティに関する第三者評価委が6項目の提言
08 Aug 2023
板橋委員長(右)より報告書を受取る小早川社長(東京電力ホームページより引用)
東京電力の核セキュリティの取組を第三者の視点で確認する専門家評価委員会が8月7日、3回目となる評価報告書をまとめ、同社に提出した。
同委員会は、柏崎刈羽原子力発電所で発生した核物質防護に係る不適切事案に対し、東京電力による改善措置活動を確認することを目的として2021年12月に設置され、これまで、2022年7月、2023年1月と、2回にわたり評価報告書をまとめている。
前回報告の2023年1月以降の取組を評価対象とした今回の評価報告書では、
- セキュリティ部門と他の部門との人事交流等の継続的な促進
- セーフティ上、セキュリティ上の不適合事案「ゼロ」に向けた意識改革
- 立入制限区域の変更の有効性と丁寧な説明
- 廃炉(福島第一・第二)に伴う核セキュリティ教育のさらなる徹底
- 不要警報(気象条件や鳥・小動物に起因する誤報)対策のさらなる改善
- 広報における丁寧な説明とメディアとの信頼関係の醸成
――の6項目を提言。
評価報告書は8月7日、板橋功委員長(公共政策調査会研究センター長)より、東京電力・小早川智明社長に手渡された。板橋委員長は「核セキュリティのパフォーマンスは着実に向上しつつある」と評価。一方で、提言(2)に関し、「核セキュリティ上・セーフティ上の不適合事案が相次ぐことによって、折角のパフォーマンス向上も陰に隠れてしまう」と危惧。さらに、提言(6)に関し、「すべてをオープンにできないのはもちろんだが、説明できる部分についてはできるだけ丁寧に説明して欲しい」と述べ、核セキュリティの特性を考慮したメディアとの信頼関係構築の必要性を指摘した。
小早川社長は、「委員会からの提言を踏まえた取組を進めた結果、核セキュリティのレベルは一定程度向上している。今後も報告書の内容をしっかりと確認し継続して改善に努めていく」と述べた。