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山口県・村岡知事 上関町の中間貯蔵施設調査「推移を見守る」と

10 Aug 2023

©Kaminoseki Town

山口県の村岡嗣政知事は8月9日の記者会見で、同県上関町における使用済燃料中間貯蔵施設の建設に向けた調査・検討に関し質疑に応じた。同調査・検討は、中国電力が8月2日、2023年2月に上関町からの検討要請を受けた「まちづくりのための財源確保につながる新たな地域振興策」として回答したもので、町内の同社所有地内において、中間貯蔵施設の立地可能性を調査し、具体的な計画の検討に必要なデータを取得するもの。中国電力による提案では、半年ほどかけて文献調査、ボーリング調査などを行う予定。

村岡知事は8月8日、上関町の西哲夫町長と本件に関し県庁内で会談を行い、町の人口減少・高齢化や厳しい財政事情を背景に「町議会を開き判断したい」との報告を受けたとしている。

会見を行う山口県・村岡知事
©Yamaguchi Prefecture

9日の会見で、知事は、「状況の推移を見守っていきたい」と強調。立地可能性調査を検討する現段階で、県としての意見を控える姿勢を示した上で、「仮にステップが進んでいけば、最も重要な関心事項となる安全確保についてはしっかり見ていく」と述べ、今後の進展により、周辺市町の関係や国との交付金手続きなど、広域的・総合的立場から県が判断に関わる可能性を示唆した。また、村岡知事は、中間貯蔵施設の必要性を認識する一方、核燃料サイクル事業の停滞を憂慮。原子力政策に関し、「最終処分に至るまで国がしっかり対応すべき」と強調した。

中国電力では、中間貯蔵施設の検討に当たり、単独での建設・運営が難しいことから、関西電力との共同開発を前提に進めていく考えで、具体的な計画は今後、調査・検討結果を踏まえて策定する予定。〈中国電力発表は こちら 、関西電力発表は こちら

なお、同社は1996年に山口県や上関町に対し原子力発電所の建設を申入れた後、2009年に原子炉設置許可(ABWR×2基)を国に申請。海域の埋立て工事に着手したが、2011年の福島第一原子力発電所事故により中断となっている。2012年以降、3度にわたり工事完了時期の延長を県に申請しているが、建設は進展していない。

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