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「ナガサキ・ユース代表団」が報告会

30 Aug 2023

報告を行う「ナガサキ・ユース代表団」の学生たち(インターネット中継)

核軍縮に問題意識を持つ長崎の学生たちによるミッション「ナガサキ・ユース代表団」(第11期生)の活動報告会が8月28日、長崎大学で行われた。

「ナガサキ・ユース代表団」は、長崎県、長崎市、長崎大学で構成される「核兵器廃絶長崎連絡協議会」が主催する人材育成の取組。毎年、長崎県内の若者(一定の英語力を有する18~25歳を目安)から募る同代表団は、2013年の第1期生以来、これまで計78名(延べ94名)にのぼり、国際会議などへの参加を通じ、核軍縮・不拡散外交について最前線で学び、世界各地の人々とのネットワークを広げてきた。その「卒業生」には、現在も教育やマスコミの分野で平和や核軍縮の活動に関わる人も多い。

今回、活動報告を行った「ナガサキ・ユース代表団」は、2022年12月に任命された長崎大学、活水女子大学に在籍する学生ら7名(うち、オンライン参加と欠席による書面提出が各1名)。

同代表団は、7月31日~8月11日にウィーンで開催されたNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議[1]条約の目的の実現および条約の規定の遵守を確保することを目的として5年に1度開催される国際会議で、次回は2026年に開催予定の準備委員会を訪れ、各国の若者らが集う「ユースフォーラム」に参加したほか、書道をテーマとしたサイドイベントを開催。サイドイベントは、「平和に対する考えは多様で混在し、また、対立している。書道は数字と違って答えがなく、筆跡によって、人となりが現れる日本伝統の芸術。平和にも答えがなく、各人の経験によって形づけられる」との考えから企画された。この他、広島と長崎での関係者との対談や施設訪問、長崎県内を中心とする中学校での「平和のためにできること」をテーマとした出前講座を実施。ウィーンでは各国大使らとの対談も行っており、報告会でまとめの挨拶に立った有吉葉奈子さん(長崎大薬学部)は、「伝えることの難しさを感じた」と、所感を述べた。

被爆者の平均年齢は85歳に達したといわれる。今回の報告会で「被爆者の生の声を聞くことが難しくなっている」という学生もいた。被爆者の高齢化が進む中、長崎県の大石賢吾知事は、8月22日の定例記者会見で、「『ナガサキ・ユース代表団』を始めとする若者たちの活躍が今後ますます重要になってくる」と、強調している。

脚注

脚注
1 条約の目的の実現および条約の規定の遵守を確保することを目的として5年に1度開催される国際会議で、次回は2026年に開催予定

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