原子力産業新聞

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原子力マネジメントスクール 14か国が参加

01 Sep 2023

NEMS開講式、研修生ら関係者が一堂に

「Japan-IAEA 原子力エネルギーマネジメントスクール(NEMS) 2023」が8月22日~9月8日の日程で、東京大学本郷キャンパス(一部の講義とテクニカルツアーを福島・茨城県で実施)で開催されている。原子力発電の導入を検討する各国および日本の原子力政策・規制組織の若手担当者、技術者・研究者が対象。

NEMSは、世界各国で原子力エネルギー計画の策定・管理をリードする人材の育成を目指し、エネルギー戦略、核不拡散、国際法、経済・環境問題など、幅広い課題について学ぶ機会を提供し、マネジメントに必要な基礎能力を養うことを目的に、2010年にイタリアで始まった。日本での開催(2012年初開催、2014年より日本主催・IAEA共催)は今回で11回目。東京大学大学院工学系研究科の他、日本原子力研究開発機構、日本原子力産業協会、原子力国際協力センターなどで運営する産学官プラットフォーム「原子力人材育成ネットワーク」により実施され、国内行政機関、電力・メーカーからも講師を招く。

今回の研修生は、海外13か国(ブルガリア、チェコ、エストニア、ガーナ、インドネシア、ヨルダン、カザフスタン、メキシコ、フィリピン、ポーランド、サウジアラビア、スロバキア、ベトナム)から18名、日本からは11名、計29名が参加した。

今回のNEMSは4年ぶりの全面的な対面開催となり、8月22日に行われた開講式で、組織委員長の東京大学大学院工学系研究科准教授・出町和之氏は、会期を通じ対面・現地で講義、グループワーク、施設見学に臨む各国研修生らを大いに歓迎。続いて挨拶に立ったIAEA企画・経済調査官のアンリ・パイエール氏は、気候変動対策における原子力発電の重要性を述べた上、研修を通じ将来に向け専門的なネットワーク構築が図られることに期待を寄せた。また、NEMS前組織委員長の上坂充原子力委員会委員長は、「国際的な討論は極めて重要」と、原子力政策の立案において他国の状況も理解する必要性を強調するとともに、研修生らに対し、カリキュラムの一環となる福島訪問に関して「ALPS処理水対応も含め、福島第一原子力発電所廃炉の現状をよく見て理解して欲しい」と述べた。

研修生らは、8月25日まで東大で講義とグループワークに臨んだ後、28日~9月1日には茨城・福島県に移動。原子力機構の高温工学試験研究炉「HTTR」、福島第一・第二原子力発電所、水素エネルギー研究フィールドなどを見学。4日には東京へ戻り、最終テストが実施され、8日に閉幕となる運びだ。

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