原子力産業新聞

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来年度政府概算要求が出揃う

01 Sep 2023

高度化に向け3億円の新規予算措置が図られる「SPring-8」

2024年度の政府概算要求が8月31日までに出揃った。

文部科学省では、原子力分野の取組として、対前年度比28%増の1,883億円を計上。2月に閣議決定された「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」などを踏まえ、「原子力分野における革新的な技術開発によるカーボンニュートラルへの貢献」として、同2.6倍となる276億円を要求した。高温工学試験研究炉「HTTR」を活用した高温ガス炉の安全性実証や水素製造に必要な技術開発、高速炉技術開発の基盤となる実験炉「常陽」運転再開に向けた取組を推進するとともに、革新炉開発に資するシミュレーションシステムの開発などを進める。

また、核融合研究開発の推進では、同37.3%増の292億円を計上。ITER計画などの国際枠組みによる技術開発に加え、競争的資金「ムーンショット型研究開発制度」を活用し「ゲームチェンジャーとなりうる小型化・高度化等を始めとする独創的な振興技術の支援を強化する」ため、新規に20億円を要求。この他、3GeV高輝度放射光施設「Nano Terasu」の2024年度の運用開始に向け38億円、大型放射光施設「SPring-8」の高度化で3億円がそれぞれ新規に計上されている。

経済産業省では、エネルギー対策特別会計で対前年度比11%増の7,820億円を計上。最重要課題とされる「福島復興のさらなる加速」では、廃炉・汚染水・処理水対策事業費176億円など、対前年度比21%増の910億円の要求額となっている。

原子力規制委員会では、対前年度比25%増の730億円を計上。高経年化対策に係る審査・検査体制などの強化に向け、安全規制管理官(課長レベル)1名設置の機構要求の他、計66名の定員要求も盛り込まれている。

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