原子力産業新聞

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中部電力 SMR開発で米ニュースケール社に出資へ

08 Sep 2023

ニュースケール社SMRの概要(日揮発表資料より引用)

中部電力は9月7日、小型モジュール炉(SMR)開発企業の米国ニュースケール社へ出資を行うことを決定し、国際協力銀行(JBIC)が保有する一部株式の持分譲渡に関する契約を締結したと発表した。ニュースケール社に対する日本の企業・金融機関による出資は、2021年の日揮・IHI、2022年のJBICに続くもの。〈中部電力発表資料は こちら

ニュースケール社は、2007年にSMR開発を目的として設立された米オレゴン州立大学発のスタートアップ企業。同社が開発するSMRは、電気出力5~7.7万kWのモジュール炉を最大12基設置する統合型PWRで、蒸気発生器と圧力容器の一体化による小型かつシンプルな設計で安全性・信頼性を向上。再生可能エネルギー電源と組み合わせ調整する負荷追従運転や自然災害時における緊急電力供給としての利用が可能なほか、工場での組立て・輸送が簡単なモジュール工法により、工期短縮、初期投資の抑制も図られる。同社では、米エネルギー省(DOE)の支援で開発を進め、2029年に初号機をアイダホ国立研究所内で運転開始することを目指しており、2020年には電気出力5万kW版のSMRについて、米原子力規制委員会(NRC)による設計認証(DC)審査がSMRとしては初めて完了している。

米国政府は2013年以降、ニュースケール社に対し530億円を投じ開発を支援(2022年2月時点)。2020年には、先行き10年間で運営主体に対し、およそ14億ドルの追加支援を行うことを発表している。

中部電力では、ニュースケール社による事業拡大の将来性を「SMR開発のトップランナー」と期待し、今回の出資を通じ「次世代技術の社会実装を推進することで、当社の企業価値の向上を目指していく」としている。

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