原子力産業新聞

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教育WSを10年ぶりに開催 NUMO

29 Sep 2023

グループワークの一環として行われた地層処分をテーマとするボードゲームのプレイ体験(NUMO提供)

原子力発電環境整備機構(NUMO)は、教育関係者(教員を目指す学生も含む)を対象としたワークショップを、9月16日の福岡市会場を皮切りに開始した。「高レベル放射性廃棄物の最終処分」について、学校の授業で取り上げてもらうことを狙った同WSの開催は、10年ぶりとなる。

地層処分事業は、まだ多くの国民に知られているとは言いがたい。しかも長期にわたることから、次世代層にも知ってもらうため、学校教育が一つのカギとなる。今回、NUMOでは、同WSを、教育現場からの「『エネルギー自給率の向上や脱炭素化を図っていく流れの一つに地層処分がある』といったストーリー性のある授業が必要」との声に応える形で企画。初回のWSに参加したのは、福岡県内の学校教員ら8名。専門家による講演、NUMOからの情報提供をもとに、グループワークを通じ意見交換が行われた。

講演ではまず、世界のエネルギー動向を巡り「日本がエネルギーとどう向き合う必要があるのか」、理科教育に関連し「エネルギーに関する単元がSDGsの目標とどう関連するのか」などと問題提起。これを受け、グループワークでは、今後のエネルギー教育に関し「すべての教科を横断的して扱うべきテーマだ」との指摘があった。さらに、NUMOからは、地層処分について、次世代層への教育を支援する意義、支援内容などについて説明。その中で、NUMOは、教育支援ツールの一つとして、ボードゲーム「地層処分って何だろう? ジオ・サーチゲーム」を紹介し、同ゲームのプレイ体験のあるWS参加者からは、「異なる意見を交わし合い議論するには非常によい教材。是非授業で活用してみたい」といった期待の声もあがった。一方で、「地層処分だけに多くの時間を割くのは難しい」と指摘する参加者も。こうした意見交換を通じて、授業での地層処分問題に関する取扱いに向け、事情の異なる教員らが交流する必要性などが浮き彫りになった。

初回のWSを終えて、NUMOの担当者は、「エネルギー教育では、発電と消費については比較的授業で取り扱いやすいが、高レベル放射性廃棄物については、学習指導要領に載っていないのが現状。このようなWSを通して、少しでも関心を持ち授業で扱ってもらえたらありがたい」と、話している。同WSは引き続き、愛媛県松山市(9月30日)、福井県(日程未定)と、開催される運び。

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