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衣料品に適したAI活用のX線検査機開発 桑原

19 Oct 2023

桑原が開発したX線検査機、AIを活用し衣類装着の安全ピンなども認識する(同社発表資料より引用)

政財界の要人らが出席するシンポジウムや祝賀会などでは、昨今の社会情勢から保安体制が強化されるようになった。入場時に金属探知機でアラームが鳴るとSPによる念入りなボディチェックがなされ、大人数が集まる行事では開始・進行が遅れることもある。こうしたデメリットの解消にもつながりそうなX線検査機を、衣料品の検品・修整を手がける桑原が10月17日に販売を開始した。〈桑原発表資料は こちら

このほど桑原が販売を開始したX線検査機は、AI画像認識技術を活用。従来のX線検査機では、それ自体が異物混入を検知することはなく、熟練の検査員がX線画像を直接見て判断することが求められ負担が大きかった。新たなX線検査機は、同社がイメージテック(X線検査機の開発・製造・販売)、システム計画研究所(AI・画像処理システム開発)と協同で開発したAI異物判定システム「FASHION DOCTOR」を搭載。混入した異物の箇所をピンポイントで囲み表示しビープ音で知らせることで、異物の発見がしやすく、検査員の負担軽減と検査効率の向上の他、検査員の新人教育にも役立つ。現在のところ、桑原のX線検査機は衣料品の検品が主な用途だが、同社ではICT事業分野への本格参入を目論んでおり、今後、「FASHION DOCTOR」の技術は、物流全般、保安、医療の分野への応用も期待できそうだ。

「FASHION DOCTOR」では、桑原が長年の検査経験に基づき、衣料品・バッグ・靴などのアパレル製品、約400点以上の異物サンプル群から撮影したX線画像を、専用の開発ソフトでAI学習を行い集めた7万点以上の実検査画像をもととする「標準AI検査モデル」を使用。同社では、今後もAI学習を積み重ね、新たな検査アイテムや検知異物の対象拡大、検知率の向上を目指していく。

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