佐野原子力委員 IFNEC会合でアフリカのSMR導入に言及
16 Nov 2023
アフリカ諸国でも原子力開発への関心が高まっている、図はエジプトで建設が進むエルダバ発電所のイメージ©NPPA
「国際原子力エネルギー協力フレームワーク」(IFNEC)の閣僚級会合が11月2、3日、ガーナ(アクラ)で開催され、開催地のアフリカを念頭とした新規参入国に対し、「原子力先進国ができることは何か」を主なテーマに議論がなされた。日本からは原子力委員会の佐野利男委員らが出席した。〈原子力委員会発表資料は こちら〉
IFNECは、米国の提唱で2006年に立ち上げられた「国際原子力エネルギー・パートナーシップ」(GNEP)を前身とする原子力国際協力の枠組みで、概ね毎年開かれる閣僚級会合は日本でも2018年に開催されている。
今回のIFNEC閣僚級会合の参加国・機関は、メンバー国がオーストラリア、カナダ、中国、ガーナ、ハンガリー、日本、ケニア、韓国、オランダ、米国の10か国、オブザーバー国・機関がナイジェリア、アフリカ原子力委員会(AFCONE)で、この他、国際機関として、IAEA、OECD/NEA。主催国として開会挨拶に立ったガーナのクワク・アフリイエ環境科学技術相は、同国における原子力発電の「脱炭素化実現に向けた重要なエネルギー源の一つ」としての位置付けを強調し、IFNEC会合の開催を歓迎した。原子力発電を持たないガーナでは現在、小型モジュール炉(SMR)の導入を検討中。IFNECには2010年から参加している。AFCONEからは、「アフリカの人口は急増しており、原子力発電の利用可能性の検討は喫緊の課題であり、複数のアプローチを活用して原子力発電導入への検討を進めていきたい」との発言があった。
14日の原子力委員会定例会でIFNEC閣僚級会合出席の報告を行った佐野委員は、「原子力エネルギーを導入していないアフリカ諸国を将来のマーケットとした場合に、今後の諸問題をどう考えるか」と述べ、安全確保、ファイナンス、人材育成、PA、規制、バックエンドなどの課題を提示。SMR開発に関しては、日本企業の参画の一方、先日の米国ニュースケール社によるSMR初号機建設計画の中止にも鑑み、「ベンダーの方もしっかりとした技術を確立すべき」と強調。さらに、大型軽水炉のスケールメリットにも言及し、各国のエネルギー需要に応じた開発を進めていく必要性などを指摘した。
上坂充委員長は、「経済的にも発展していくアフリカに安全な原子力を適切に導入していくため、規制の調和に関し先進国がどう対応すべきか」と問題意識を示した上で、最近のIAEAによる関連会合への出席経験も踏まえ、SMR規制の標準化に向けて、今後も、IFNECでアフリカのSMR開発を取り上げる必要性などを指摘。さらに、原子力開発が進む南アフリカの大学における教育スタッフの意欲に触れ、人材育成で日本が協力していくことの重要性を強調した。