原子力産業新聞

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齋藤経産相が就任 「待ったなしの課題が山積」と

15 Dec 2023

就任会見を行う齋藤経産相

西村康稔経済産業相が12月14日に退任したのに伴い、後任として衆議院議員の齋藤健氏が就任。同日晩、就任記者会見を行い、抱負を述べた。同氏は、安倍内閣で農林水産相などを歴任している。

その中で、齋藤経産相はまず、経産省が取り組む政策分野に関し、「通商産業、エネルギー、そして災害対応と、大変幅広く、それぞれの分野で多くの課題に直面している」との問題意識を示した。さらに、東日本大震災から12年以上が経過した福島の復興、GXの具体化に向けた取組、大阪・関西万博の準備を重点課題にあげ、「待ったなしの課題が山積している」と強調。

さらに、通商産業省(当時)に職員として勤務した経験を持つ同氏は、40年程前の就職当時を「あの頃、『通商産業政策を命がけでやる』という気持ちで門をくぐった」と、振り返りながら、「今、初心に立ち返りもう一度、しっかりやっていく」と、就任に際しての決意を述べた。

エネルギー・環境政策については、「再稼働や核燃料サイクル含めた原子力政策、再生可能エネルギーの拡大、GXの実現など、一つ一つ確実に対応していく」と明言。福島の復興や福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策に関しては、「8月に開始したALPS処理水の海洋放出について、政府として全責任をもって取り組んでいく」としたほか、「帰還困難区域の避難指示解除に向けて、交流人口の拡大などを通じ、被災地の復興を着実に進めていく」と述べた。

近々議論が本格化するとみられる次期エネルギー基本計画の策定については、自身の資源エネルギー庁課長職時代の勤務経験も活かし、「まずはしっかりと現状を把握し取り組んでいきたい」と強調した。

なお、齋藤経産相は、翌15日の閣議後記者会見で、COP28(11月30日~12月13日、UAE・ドバイ)が採択したUAEコンセンサスに関連し、日本の化石燃料からの脱却に向けた取組について問われたのに対して、再生可能エネルギーや原子力など、脱炭素電源への転換を進め、2050年カーボンニュートラル実現を目指す姿勢から、「整合的なものである」と明言。また、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関しては、一連の核物質防護事案に鑑み、「予断を持って発言することは差し控えたい」とした上で、事業者に対する徹底した指導の他、「安全確保を大前提に、発電所の必要性や意義について新潟県など、地域の理解が得られるよう引き続き丁寧に説明していく」と述べた。

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