原子力産業新聞

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原子力小委 サプライチェーンの維持・強化など議論

19 Dec 2023

総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=山口彰・原子力安全研究協会理事)が12月19日、5か月ぶりに開催され、COP28での共同宣言など、原子力政策を巡る内外動向についてあらためて整理し議論した。〈資料は こちら

冒頭、挨拶に立った資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の久米孝氏は、今夏の関西電力高浜1・2号機の運転再開に伴い、国内の再稼働炉が12基に上り、来年は東北電力女川2号機、中国電力島根2号機と、新たにBWRの再稼働も見込まれていると期待。国内の原子力発電を巡る状況につき「足下では再稼働が着実に進んでいる」との見方を示した。先のCOP28(UAE・ドバイ)で12月2日に発表された日本を含む20国超による「2050年までに2020年比で世界全体の原子力発電設備容量を3倍にする」旨の共同宣言にも言及し、日本の「第三国の革新炉導入支援や同志国と連携したサプライチェーンの強靭化などの取組を通じ、世界全体の原子力発電容量の増加に貢献する」姿勢を示した。

また、サプライチェーンの維持・強化に関して、資源エネルギー庁原子力政策課は、去る3月の「原子力サプライチェーンプラットフォーム」(NSCP)の設立および日本原子力産業協会との共催によるシンポジウム開催についてあらためて紹介。9月のNSCPウェブサイト開設や今後のシンポジウム開催検討にも言及し、議論に先鞭をつけた。

原子力エネルギー協議会(ATENA)からは、自主的な安全性向上に関する取組について報告があり、2018年設立以降の評価、今後の課題・方向性について説明。委員からは、原子力安全推進協会(JANSI)との役割分担の明確化に関し意見があった。

専門委員として出席した原産協会の新井史朗理事長は、サプライチェーンの維持・強化に関連し、世界最大級の原子力展示会「WNE2023」(11月28~30日、フランス・パリ)へのブース出展について紹介。「WNE2023」には約780社の出展、24,000人の来場があったと述べ、「海外とのチャンネルをつくるよい機会」と強調した上で、今後、会員企業の海外市場展開を支援していきたいと述べた。ATENAによる自主的安全性向上の取組については、「リスク情報を活用した安全性の維持向上とプラントのパフォーマンス向上の両立を図って欲しい」と述べた。〈発言内容は こちら

この他、遠藤典子委員(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート特任教授)は、「新増設を進めないとサプライチェーンは続かない」と強調。ファイナンスや地域の産業力調整も含め、次世代炉の開発に向けた国の関与に期待した。また核不拡散の観点からプルサーマル計画の推進にも言及している。

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