規制委 柏崎刈羽の核燃料物質移動禁止命令を解除
09 Jan 2024
柏崎刈羽原子力発電所全景
原子力規制委員会は12月27日、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案に伴い設定した原子力規制検査の対応区分「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)を、「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更することを決定した。これにより、法令運用上、同所に発出されていた特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令が、約2年8か月ぶりに解除された。
また、規制委が2017年12月に柏崎刈羽6・7号機の新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更許可と合わせて、東京電力に対し、福島第一原子力発電所事故の当事者として実施した「原子炉設置者としての適格性に係る判断」の再確認に関しても、当時の結論を「変更する理由はない」とし、同社に対し「適格性あり」と判断した。
これらの判断に先立ち、規制委では、山中伸介委員長と伴信彦委員が2023年12月11日に現地調査を行い、20日には東京電力の小早川智明社長らとの意見交換を実施。社長からは、柏崎刈羽原子力発電所の保安規定に定める原子力事業者としての基本姿勢7項目を始め、社長直轄の「核物質防護モニタリング室」を通じた行動観察など、同社の取組について説明がなされた。
規制委では、27日の会合で、核物質防護に係る不適切事案を受け、2021年度以降、柏崎刈羽原子力発電所に対し実施した合計4,268人・時間に及ぶ追加検査の報告書を了承。追加検査が終了し、今後は、東京電力による改善活動の実施状況について、基本検査で引き続き監視していくこととしている。山中委員長は同日の定例記者会見で、「あくまでもスタートライン」との認識を示したほか、今後の課題として、企業文化の改善や全社的なコミュニケーションについても言及した。
原子力規制検査に係る結果および対応区分の変更を受け、東京電力は12月27日、「原点である福島第一原子力発電所事故の反省と教訓にもう一度立ち返り、自律的な全員参加型の改善活動を継続し、原子力事業者として地元の皆様、社会の皆様から信頼してもらえるよう取り組んでいく」とのコメントを発表。28日には、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護に係る不適切事案の原因分析再検証・改善措置実施報告書を取りまとめ発表した。