三菱重工 フランス電力向けSG3基を完成
23 Jan 2024
今回製造完了した蒸気発生器
三菱重工業は1月22日、フランス電力(EDF)から受注した取替用蒸気発生器(SG)3基の製造を完了したと発表した。19日には、神戸造船所にてEDF関係者同席のもと、完成式典を挙行している。EDFからは計9基の取替用SGを受注しており、今後、残る6基についても、順次製造を進めていく。〈発表資料は こちら〉
今回、製造した取替用SGは、出力90万kWのPWR用で、国際入札の結果、三菱重工とフランス Onet Technologies 社が共同受注。納入が予定されるSGは、低合金鋼製の耐圧容器内部に耐熱性の高い材料「TT690合金」製の伝熱管約4,500本を挿入しており、高さ約21m、総重量約330トンに達する。SGは、PWRのシステム上、「原子炉で発生させた熱を一次冷却系から二次冷却系に伝え、水蒸気をタービンで駆動させる」重要機器の一つで、高い安全性・信頼性をクリアすべく、その製造には、0.01mmオーダーの極めて高度な加工精度が要求されるという。
フランス国内で56基のPWRを運転するEDFでは、1980年代に稼働開始したプラントについて、40年超運転を見据え、順次、SG取替を進めている。三菱重工では、世界各国の原子力活用ニーズに応えるべく、「高い信頼性が求められる製品を、国内ならびにフランスを始めとする海外の原子力市場に納入することで、原子力発電の安全・安定運転に貢献していく」としている。
三菱重工では、フランス、ベルギー、米国など、累計で31基の取替用SGを納入した実績があり、その中でも、EDFに対しては、広範囲にわたり原子力機器の輸出に取り組んできた。同社は2005年に、EDFからPWRの取替用SG6基を受注。これは、日本メーカーとしては初めてとなるフランスからの原子力発電設備の主要機器受注で、当時、EDFは、計5プラント・15基のSGを国際入札し、三菱重工が6基、フランス・フラマトム社が9基受注した。三菱重工は、特殊熱処理により耐腐食性を高めた「インコネル合金」(ニッケル・クロム・鉄の合金)製の伝熱管を1基当たり約4,000本以上取り付ける高い設計要求を達成している。これを契機に、同社はフランスでの営業活動を強化してきた。