原子力産業新聞

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福島第一の燃料デブリ試験的取り出し「遅くとも2024年10月頃」

26 Jan 2024

石川公一

2号機PCV内部調査・試験的取り出しの準備状況 ©TEPCO

東京電力は1月25日、福島第一原子力発電所廃炉作業の進捗状況を発表し、廃炉の「本丸」といえる燃料デブリ取り出しに係る工程を変更した。〈東京電力発表資料は こちら

2号機を筆頭に、2023年度後半に開始するとしていた採取開始を「遅くとも2024年10月頃」に見直した。

同日、福島第一原子力発電所を拠点に行われた記者会見で、廃炉最高責任者の小野明プレジデントは、「遅れ」による国費投入上の責任を問われる場面もあったが、「世界でも前例のない難易度の高い作業であり、今後の廃炉作業においても非常に重要な作業となる」と強調。非常に狭隘かつ高線量の環境下で実施する作業であることから、「安全・確実に進めていく必要があり、今回の工程変更は必要」との認識を示した。

現在、燃料デブリの性状把握のため、格納容器内部調査・試験的取り出しの準備として、貫通孔の一つ「X-6ペネ」付近の堆積物除去作業が行われている。今後は、燃料デブリの試験的取り出しに用いる装置として、堆積物が完全に除去されていなくても投入可能で実績のあるテレスコ方式(簡易型望遠鏡を引き延ばすイメージ)を活用する方針だ。工法の変更に伴い、原子力規制委員会の審査が必要となる。

これまで、2号機の燃料デブリ取り出しに向けては、国際廃炉研究開発機構(IRID)と英国VNS社が共同開発したアーム型装置を導入することとして、2021年夏の装置の日本到着後、日本原子力研究開発機構の楢葉遠隔技術開発センターにおいて、モックアップによる習熟訓練が行われてきた。アーム型装置による内部調査・デブリ採取は、精度を高めるための試験・開発を進めた上で、今後の調査や採取で使用する。

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