原子力産業新聞

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規制委 能登半島地震を踏まえモニタリング技術を議論

07 Feb 2024

石川公一

原子力規制委員会は2月7日の定例会合で、元旦に発生した能登半島地震後の北陸電力志賀原子力発電所に係る現状を踏まえ、今後の対応に向けて、主にモニタリング技術の向上について議論した。

同委では、年明け最初となる1月10日の定例会合で、地震発生以降の北陸電力他、東京電力や関西電力などから得た情報収集に基づく対応状況の時系列を整理。北陸電力によると、現在、停止中の志賀原子力発電所で観測された地震動の加速度応答スペクトルは、一部の周期帯において、設計上考慮している加速度をわずかに上回っていることが確認されており、規制委では、引き続き技術的情報の収集・整理に努め、必要に応じて今後の新規制基準適合性審査に反映していくとしている。

2月7日の会合では、主に、放射線モニタリング体制の機動力強化に関して、委員間で意見が交わされた。地震発生により、志賀原子力発電所周辺のモニタリングポスト116局のうち、主に発電所北側15km以遠の18局でデータ収集が一時期欠測(昨日時点ですべて復旧済み)。原子力規制庁では、石川県とも情報共有を図り航空機モニタリングの準備を行ってきた。

こうした状況を踏まえ、原子力規制庁放射線防護グループ監視情報課長の今井俊博氏は、放射線モニタリングにおける通信の信頼性向上、技術の多様化に向けた検討状況を説明。同氏はまず、「安全を確保した上でのモニタリングを考えるべき」と強調した上で、今回の地震で「通信による不具合が欠測の主たる原因」と推察されたことから、京都大学との協力により、低消費電力でも広域の無線通信が可能な「LPWA」規格を使用した測定器の開発に取り組んでいるとした。今後もNTTとも協力し実用化を目指していくとしている。さらに、日本原子力研究開発機構とも協力し、発災時、早急に対応可能な機動性の高いドローン「VTOL機」の開発・導入も検討しているとした。「VTOL機」の機動イメージとして、同氏は、昭和40年代の特撮「帰ってきたウルトラマン」に登場する円盤型戦闘機「マットアロー2号」を例にあげ、浮上・水平移動の柔軟さをアピールした。

これを受け、伴信彦委員は、「確かに面白いが、複雑な地形でも適用できるのか」などと、懸念を示した上で、民間事業者との連携も通じ、さらに機動性を高めていく必要性を強調。杉山智之委員は、電源喪失に係るリスクから、「共有要因に伴う機能喪失対策は原子力分野の基本。総倒れにならない工夫が必要だ」と指摘。また、情報発信の関連で、石渡明委員は、「少し対応が鈍いのでは」とホームページ上での視認性向上を要望。新しい技術的情報の収集・検討についても早急な具体化を求めた。

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