原子力産業新聞

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関西電力 全サイトで乾式貯蔵施設設置へ

09 Feb 2024

石川公一

高浜発電所、計4基が稼働し4年後には使用済燃料貯蔵のひっ迫が懸念される(写真は3・4号機)

関西電力は2月8日、美浜発電所、高浜発電所、大飯発電所における使用済燃料の乾式貯蔵施設設置計画について、福井県、美浜町、高浜町、おおい町に対し、安全協定に基づく事前了解願を提出した。〈関電発表資料は こちら

同社は2023年10月、「使用済燃料対策ロードマップ」を策定し、福井県・同県議会に対し、「発電所からの将来の搬出に備え、構内に乾式貯蔵設備の設置を検討する」と説明している。

乾式貯蔵は、燃料ピット(BWRプラントでは燃料プールと呼称)で十分に冷却された使用済燃料を輸送・貯蔵兼用キャスクと呼ばれる容器に収納・密封し貯蔵する方式で、東日本大震災時も、福島第一原子力発電所に設置された同貯蔵方式の頑健性が保たれた。原子力発電所構内の乾式貯蔵施設の設置については、日本原子力発電東海第二でも運用されているほか、現在、中部電力浜岡、四国電力伊方、九州電力玄海に関しても、原子力規制委員会による審査や、設計・工事認可の申請準備などが進められている。

関西電力の発表によると、美浜、高浜、大飯に、それぞれ最大、約100トン、約350トン、約250トンの貯蔵容量を確保することとしており、2030年頃までに全サイトの整備を完了する計画だ。

関西電力は1月19日、電気事業者各社が経済産業相との意見交換を行う協議会の中で、使用済燃料対策推進計画の改訂を発表しており、引き続き「福井県外における中間貯蔵について、理解活動、可能性調査等を計画的に進め、2030年頃に2,000トン規模で操業開始する」方針を示している。同日に電気事業連合会が取りまとめ発表したデータによると、同社の原子力発電所における使用済燃料貯蔵量は5年後、管理容量に対し、美浜で90%、高浜で100%(4年程度で達する見込み)、大飯で98%と試算されている。

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