サプライチェーン構築に向け日英が協力
13 Feb 2024
「日英サプライチェーン・パートナーシップ・プロジェクト」オンライン企業説明会(原産協会会議室での配信風景)
日本原子力産業協会はこのほど、駐日英国大使館が主宰する「日英サプライチェーン・パートナーシップ・プロジェクト」の一環として開催されたオンライン企業説明会の運営支援を行った。説明会は、1月24日、30日、2月7日の計3回にわたり行われ、日英合わせて16社の企業がそれぞれの事業について紹介。両国から計148名の関係者が傍聴参加した。
「日英サプライチェーン・パートナーシップ・プロジェクト」は、2023年に駐日英国大使館および関係者により立ち上げられ、日英の原子力分野で活躍する企業が有する知見・技術を学び合うことにより、将来的に両国企業のビジネスパートナーシップの発展に寄与することを目指すもの。日本としては、英国から、廃止措置・廃棄物管理や、小型モジュール炉(SMR)などの先進原子力技術について、学ぶべき知見・技術も数多い。昨秋に英国ビジネス・通商省および駐日英国大使館により開催された「日英原子力産業フォーラム」では、ジュリア・ロングボトム駐日英国大使も、日本で進められる高温ガス炉開発や福島第一原子力発電所廃炉における日英協力を例に、「日英企業間のパートナーシップをさらに深めていきたい」と期待を寄せている。
今回の説明会で、福島第一原子力発電所廃炉の関連では、英国から、2022年に東京電力と「廃炉事業のプロジェクトマネジメント強化の協業契約」を締結したJacobs社が参加。同社の担当者は、英国セラフィールド廃止措置の経験を活かした専門的知識・エンジニアリングサービスなどの強みをアピール。原子力産業にとどまらず、航空・宇宙、自動車、情報通信ネットワーク、防衛など、「それぞれの分野で長く続くソリューションを顧客に提供する」という使命を強調し、日本でのビジネス拡大に向けて、東京本社を最近開設したことなどを紹介した。
また、日本のサプライチェーンとして、岡野バルブ製造が参加。国内のBWRバルブで80%のシェアを占める同社の担当者は、アジア、アフリカ、南米など、途上国を含む海外への供給実績をアピール。自社施設での材料開発・設計、販売、納品、メンテナンスや、国際規格への適合を通じた厳しい品質管理を特長としてあげたほか、高温ガス炉向けの遮断弁開発の取組なども紹介した上で、「100年の実績を持つ専門メーカーとして、英国の企業にも満足してもらえる高品質の製品を提供できる」と強調した。
原産協会では、今回のオンライン企業説明会を通じた意見交換を踏まえ、今後も、英国大使館および産業界の関係者と協力し、世界の原子力市場へのソリューション輸出、技術的・商業的パートナーシップの発展をさらに支援していくこととしている。