原子力産業新聞

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柏崎刈羽の状況 規制庁が新潟県で説明会

19 Feb 2024

石川公一

原子力規制庁(左手)が柏崎刈羽原子力発電所の追加検査他について新潟県民に説明(右は県・原防災局長)

柏崎刈羽原子力発電所に関する新潟県主催の県民説明会が2月18日、長岡市を拠点に開催され、原子力規制委員会が12月27日に判断、決定した追加検査の結果、および東京電力の原子炉設置者としての適格性判断について、原子力規制庁が説明。長岡市内の本会場(市立劇場)、および県内の他市町村に設けられたサテライト会場(10数か所)、オンラインによる視聴も含め、計115名が参加した。

開会に際して、県防災局長の原直人氏は、柏崎刈羽原子力発電所で2020年以降に発生したIDカード不正使用など、一連の核物質防護不適切事案を振り返った上で、今回、追加検査に携わった原子力規制庁職員らを招き、適格性判断と合わせ説明を求めるに至った経緯を述べ、参加者に対し「忌憚のない質問・意見」を要望。原子力規制庁からは検査監督総括課長の武山松次氏らが出席した。

原子力規制庁は、まず、2021年の核燃料物質移動禁止命令以降、2年8か月にわたって行った追加検査の詳細を説明。検査結果を取りまとめた上、12月末に柏崎刈羽原子力発電所の検査対応区分を引き上げ[1]「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)を、「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更、命令解除としたが、今後も引き続き、基本検査を通じて改善状況を監視していくことを強調した。

一方、適格性判断については、現地調査、社長との意見交換、保安規定変更などを総合的に勘案し、2017年12月に示した「問題なし」との結論[2] … Continue readingを変更する必要はない、との判断に至った経緯を説明した。

これに対し、県民からは、柏崎刈羽原子力発電所で最近発生した資料の無断持ち出し・散逸に鑑み、東京電力による改善活動の破綻を非難する意見、福島第一原子力発電所のALPS処理水海洋放出に関連し、同社の情報発信の姿勢について再確認を求める声もあがった。

また、元旦に発生した能登半島地震の関連では、日本海側の活断層に係る専門家の調査に言及し「自然の力には太刀打ちできない」とする不安や、災害発生時の避難対策に関し「何も決まっていないのでは」などと、今後の再稼働を見込んだ慎重な意見も出され、原子力規制庁は、「設置変更許可時には、当時の知見で最善を尽くした」と説明した上で、今後も新知見の収集・活用に努めていくと回答した。

今回の説明会では、この他、「東京電力の取組を高評価し過ぎてはいないか」、「見えていないところもあるのでは」といった規制委員会の公正さや検査の盲点に関する疑義や、「そもそもウラン238の半減期は45億年で地球の歴史に相当」とする科学技術の限界への危惧など、不安の声が大勢を占めた。県では、取り上げきれなかった質問に対し、ホームページを通じて回答を示す考えだ。

脚注

脚注
1 「第4区分」(安全活動に長期間にわたるまたは重大な劣化がある)を、「第1区分」(自律的な改善ができる)に変更
2 柏崎刈羽6・7号機について、東京電力に対し新規制基準適合性に係る原子炉設置変更許可を発出した上で、福島第一原子力発電所事故の当事者としての適格性判断を実施し、「原子炉を設置し、その運転を適格に遂行するに足りる技術的能力がないとする理由はない」と結論づけた

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