原子力産業新聞

国内NEWS

女川2号機 使用済み燃料の乾式貯蔵へ

28 Feb 2024

石川公一

女川原子力発電所2号機における使用済み燃料乾式貯蔵施設の概要

東北電力は2月27日、女川原子力発電所2号機(BWR、82.5万kW)における使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置について、宮城県ならびに女川町・石巻市に対し、地元との安全協定に基づき、事前協議を申し入れるとともに、翌28日には、原子力規制委員会への原子炉設置変更許可申請を行った。〈東北電力発表資料は こちら

女川2号機については、丁度4年前の2020年2月、新規制基準適合性審査に係る原子炉設置変更が許可された後、現在、2024年9月の再稼働に向け、安全対策工事が進められている。同機の使用済み燃料プールは、再稼働から4年程度で貯蔵容量の上限に達する見通しで、使用済み燃料を発電所外に搬出するまでの間、敷地内で一時的に貯蔵する施設として、今般、乾式貯蔵施設を2棟設置することとした。

乾式貯蔵施設は、使用済み燃料プール(PWRでは燃料ピットとも呼ばれる)で十分に冷却された使用済み燃料を、堅牢な金属製乾式貯蔵容器に収納し、空気の自然対流により冷却する。原子力発電所構内における同貯蔵方式については、日本原子力発電・東海第二で運用されているほか、中部電力・浜岡、四国電力・伊方、九州電力・玄海の各発電所でも規制委員会による審査対応など、設置に向けた準備が進められている。最近では、関西電力が2月8日、美浜、高浜、大飯の各発電所における設置計画を発表し、福井県および各立地町に対し事前了解願を提出した。乾式貯蔵容器は、地震や竜巻などの自然現象で貯蔵建屋に損傷が生じた場合にも、安全機能を維持できる設計。実際、東日本大震災時にも、福島第一原子力発電所に設置された同貯蔵容器の頑健性が保たれた。

東北電力では、2026年5月にも乾式貯蔵施設の工事に着手し、2棟それぞれ、2028年3月、2032年6月の運用を目指しており、今後、規制委の審査に対する適切な対応、地域から理解を得られるようわかりやすい丁寧な説明に努めていくとしている。

cooperation