原子力産業新聞

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経産省 柏崎刈羽再稼働の理解に向け地元対応

22 Mar 2024

石川公一

柏崎刈羽原子力発電所全景

齋藤健経済産業相は、3月22日の閣議後記者会見で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関し、「新潟県、柏崎市、刈羽村等の関係自治体とよく相談させてもらいながら、地域の方々の理解が得られるよう取り組んでいく」と述べた。

その中で、元旦に発生した能登半島地震にも鑑み、地域の避難計画を含む緊急時対応の取りまとめに内閣府(原子力防災)とも連携し取り組んでいく考えを示したほか、引き続き柏崎刈羽原子力発電所の必要性について丁寧に説明していきたいと強調。柏崎刈羽6・7号機は2017年に新規制基準をクリア(原子炉設置変更許可取得)。核物質防護に係る不適切事案に伴い原子力規制委員会により発出されていた核燃料物質移動禁止命令も、昨年末に解除された。今後は地元の理解が焦点となる。

齋藤経産相は、3月15日に東京電力の小早川智明社長と会談。小早川社長は、「自律的改善の継続」、「社外の目線を取り入れること」、「信頼回復の方針」に係る各取組状況を報告。核セキュリティに関しては、3月25日~4月2日にIAEAの専門家ミッションを現地に受け入れ、国際基準に照らした評価・助言を踏まえ、核物質防護の強化を図っていくとした。

これを受け、3月18日、齋藤経産相は、新潟県の花角英世知事、柏崎市の櫻井雅浩市長、刈羽村の品田宏夫村長と電話で会談。その中で、

  1. 原子力については、新規制基準に適合すると認められた場合、地元の理解を得ながら再稼働を進めていく
  2. 原子力災害対応の実効性向上に取り組んでいく
  3. 東京電力に対し「信頼を獲得するのは10年、失うのは一瞬」ということを肝に銘じ、緊張感を持って対応するよう指導していく

――ことを説明。こうした点について、21日には、村瀬佳史資源エネルギー庁長官らを各自治体に派遣し、「柏崎刈羽6・7号機の再稼働に向けた政府の方針」とする文書を手渡した。その中で、脱炭素電源としての活用とともに、「東日本エリアにおいて、東京湾岸に火力発電所が集中していることに加え、1割以上を占める老朽火力を最大限維持している」といった首都圏の電力需給状況にも言及し、「柏崎刈羽原子力発電所の再稼働が非常に重要」と、理解を求めている。実際、資源エネルギー庁が昨秋に取りまとめたところによると、東日本エリアで運転開始から40年以上を経過した火力発電設備は、およそ600万kW(冬季最大需要のほぼ9分の1に相当)に上っており、電力供給における脱落リスクが懸念される現状だ。

同日、柏崎市議会では、1969年の誘致決議に立ち返り、運転開始以降、電力安定供給を通じ日本の経済発展や地域活性化に寄与してきた柏崎刈羽原子力発電所の「一日も早い運転再開を求める」請願が賛成多数で可決された。村瀬長官は25日、柏崎市議会、刈羽村議会の各議長の訪問を受け会談に臨む予定だ。

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