原子力産業新聞

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東京電力 柏崎刈羽に関し県民説明会

11 Apr 2024

石川公一

県民説明会で挨拶に立つ福田原子力・立地本部長(右に橘田新潟本社代表、左に稲垣柏崎刈羽原子力発電所長)

東京電力では、柏崎刈羽原子力発電所に係る「核物質防護強化の取組」や「安全性を向上させる取組」について、地元からの意見を聴き今後の発電所運営に活かしていくため、「県民の皆様への説明会」を開催している。

柏崎刈羽原子力発電所については、2023年12月27日に、一連の核物質防護事案を受け原子力規制委員会により発出されていた「特定核燃料物質の移動を禁ずる是正措置命令」が、規制上の対応区分変更に伴い解除された。東京電力は、2024年に入り1月の柏崎市と刈羽村に続いて、4月2~9日には、県内の新潟市、上越市、長岡市、見附市において、各市内会場で最大約200~400名の県民参加を見込み説明会を開催。福田俊彦・原子力・立地本部長、橘田昌哉・新潟本社代表、稲垣武之・柏崎刈羽原子力発電所長らが県民からの質疑に応じた。

説明会は6日、長岡市内のホールで開催。同市は立地自治体と隣接し(刈羽村は飛び地)、柏崎市とは中心駅同士で約35kmの距離にあるが、参加した県民からは福島第一原子力発電所事故にも鑑み、広域的・長期的な防災対策に関する質問・不安の声が多く出されたほか、東京電力が3月28日に規制委員会に提出した柏崎刈羽7号機への燃料装荷を含む使用前確認変更申請について反論の声が上がった。

開会に際し、挨拶に立った福田本部長は、「双方向のコミュニケーションの場にしたい」と、忌憚のない意見を求めた上で、一連の核物質防護事案に関して「あらためて地域の皆様を始め、広く社会の皆様に大変な不安・不信を抱かせてしまったことをお詫びする」と陳謝。核物質防護に関するこれまでの改善活動については、「自ら『気付き』を発見し、改善する仕組みを構築できたことは大きな成果。一過性のものとせず、しっかりと定着させることが重要」と述べ、引き続き本社と発電所が一体となり、慢心することなく継続していく姿勢を示した。

続いて稲垣所長らが、県民より多く寄せられる疑問に対し回答。元旦に発生した能登半島地震や2007年に発生した中越沖地震に鑑みた自然災害に係る不安に対しては、福島第一原子力発電所事故以前からの対策、それ以降の新規制基準を踏まえ追加・強化した対策、それぞれについて具体策を図示し、「同等の地震が来ても、十分耐えられるように重要設備の耐震設計、地震・津波対策を行っている」と説明した。

再稼働に関しては、「地域の皆様の理解があってのこと」との姿勢を繰り返し強調。4つの柱として、「核物質防護」、「安全対策工事・主要設備の健全性確認」、「緊急時等の対応能力」、「コミュニケーション」をあげた。また、運転員についても「約35%が運転経験のない」ことを課題ととらえ、稼働している他社の原子力発電所、共通する設備の多い火力発電所などでの訓練を日々重ねることで、「安全な運転を実現できるものと考えている」と説明。実際、6・7号機の若手運転員からは「停止している今だからこそ、機器類を直接見たり触れたりする機会を大切にしている」との声もあるという。

県民からは、福島第一原子力発電所事故の影響を振り返り、事故発生時の避難・防護措置、農林水産物への被害に関する不安の他、説明会開催方法を巡るコミュニケーションの課題などが指摘されるとともに、「ミサイルが飛んできたらどうなるのか」、「原子力発電は止めるべき」との声もあがった。

東京電力では、参加者アンケートなども踏まえ、引き続き説明会を行っていく考えだ。

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