原子力産業新聞

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規制委 能登半島地震の影響を議論

15 Apr 2024

保科俊彦

©Hokuriku Electric Power Co., Inc.

12日に開かれた原子力規制委員会(規制委)の新規制基準適合性に係る審査会合で、北陸電力は今年1月1日に発生した能登半島地震の後、同社の志賀原子力発電所で確認された状況を踏まえ、2014年8月に行った志賀2号機(ABWR、135.8万kW)の新規制基準適合性審査の申請内容に対する影響の有無などについて報告した。地震発生後、志賀発電所に関する初の審査会合となる。

北陸電力は、概ね審査済みの「敷地内断層」、「敷地近傍断層」については既往評価への影響の有無を確認。審査未着手の「津波」、「基礎地盤」については申請時の評価への影響の有無及び施設の安全性を確認した結果をとりまとめ、審査会合の場で報告した。報告のなかで同社は、これまでの状況確認の結果を説明したうえで、志賀2号機の既往の申請に示されている敷地内断層等、また津波や基礎地盤に関する評価に影響はないとの見解を示した。

また各種研究機関等により本地震に関する調査研究が開始されていることから、同社としても確認が必要な項目について調査を開始したことを明らかにした。さらに同社は今後この地震から得られた知見を収集、整理して必要な調査、今後の審査への反映をしていく、などと報告した。

報告を受けた規制委は、敷地内及び敷地近傍の断層に関する同社の報告について「説明はおおむね理解できた」などとし、「新たな知見の収集と整理、審査への反映をしてほしい」と要望した。また断層のずれの有無を確認するための追加的な調査の実施や、各資料の記述の明確化や充実などの点を指摘し、既往の評価に対する影響の有無をより明確にするよう、北陸電力に対応を求めた。

同審査会合を担当する規制委の石渡明委員は、今回の地震は広域の液状化という特徴があると述べ、「影響がなかったということをきちんと示すことが大事なので、液状化に関する観察事実をきちんと記述し、既往評価への影響がないという根拠をきちんと示してほしい」などと要望した。

会合での指摘を踏まえ、北陸電力は、今後の審査にあたって必要な調査や検討を行って事実の確認や明確化、新たな知見の収集等につとめる考えを示した。なお、同社は地震の後に実施した志賀発電所の点検結果から、志賀2号機の主変圧器に油漏れが認められる等、一部設備に被害が生じたものの外部電源や冷却設備等の重要機能を維持しており、原子炉施設の安全確保に問題は生じていないとしている。現在、被害のあった設備等の復旧が段階的に進められている。

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