原子力産業新聞

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JAEAと英NNL 高温ガス炉の燃料製造技術で覚書

24 Apr 2024

石川公一

JAEA小口理事長(右)とNNLハワースCEOが覚書に署名

日本原子力研究開発機構(JAEA)は4月23日、英国国立原子力研究所(NNL)と高温ガス炉の燃料製造技術に係る実施覚書およびライセンス契約を締結したと発表した。〈JAEA発表は こちら

日本の高温ガス炉開発に関しては、JAEAの高温工学試験研究炉「HTTR」が2021年7月、新規制基準をクリアし10年半ぶりに運転を再開〈既報〉。水の熱分解反応による水素製造「ISプロセス」など、多様な産業利用に期待が寄せられている。さらに、高温ガス炉固有の安全性についても、2009年から実施中のOECD/NEAによる国際共同研究プロジェクトが再開され、2024年3月には、「原子炉出力100%の運転中に、原子炉を冷却できない」という厳しい状況を想定しても、「自然に原子炉出力が低下し、安定な状態を維持できる」ことが実証された。〈JAEA発表は こちら

一方、英国では、温室効果ガス排出ネットゼロ達成に向け、2022年9月より高温ガス炉実証炉プログラムを開始。そのうち、燃料プログラムについて現在、ステップ1「燃料製造技術開発」(2025年終了予定)が進められている。英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)は2023年7月、ステップ1に向け、JAEAと協力して技術開発を進める事業者としてNNLを採択。同年9月に、JAEAとNNLは、高温ガス炉の早期導入に向けた研究開発・関連活動を加速すべく、包括的な覚書を締結した。

英国のプログラムによると、ステップ1以降、2030年代初期を見据えた高温ガス炉運転の具体化を盛り込んだフェーズに入る。こうした英国での燃料製造に係る技術開発によって、日本における高温ガス炉の実証炉に向けても、多様な燃料調達先を確保することが期待される。

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