原子力産業新聞

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エネ庁 玄海町に文献調査を申入れ

01 May 2024

石川公一

資源エネルギー庁の松山泰浩次長(首席最終処分政策統括調整官)は5月1日、佐賀県玄海町を訪れ、脇山伸太郎町長に最終処分地選定に向けた文献調査に係る申入れ文書を手渡した。

文献調査は、高レベル放射性廃棄物等の処分地選定に向け、最終処分法で規定された最初の段階となる。関心を示した市町村を対象として、地域の地質に関する文献・データについて机上調査。地域には2年程度の文献調査期間中、国から最大20億円が交付される。北海道の寿都町、神恵内村で実施中の文献調査は2020年11月から開始され、現在とりまとめの段階。国からの申入れは、北海道の神恵内村に続き玄海町が2例目。

玄海町議会では、文献調査の応募を求める地元商工団体からの請願3件を受け、4月15日より審議を開始。17日には資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO)も出席し議員からの質疑に応じた。請願につき集中審議に付された町議会の原子力対策特別委員会では25日、岩下孝嗣委員長が冒頭、取材に訪れた報道陣に対し「『核のごみ』という呼び方は止めて欲しい」と強調。議員からは、地域活性化に向け採択を求める声の他、「文献調査の成果が、同町に立地する九州電力玄海原子力発電所の耐震安全性向上にも資する」といった意見もあった。請願はいずれも26日に本会議で賛成多数で可決。今後は、町長の判断が焦点となっている。

総合資源エネルギー調査会の特定放射性廃棄物小委員会(委員長=髙橋滋・法政大学法学部教授)では現在、寿都町・神恵内村における文献調査報告書の取りまとめについて議論している。4月30日の同小委員会会合では、玄海町の文献調査応募に関する意見も交わされた。〈配布資料は こちら

同会合では、資源エネルギー庁が、昨夏より始まった国・NUMO・電力が合同で全国の自治体首長を個別訪問する「全国行脚100自治体」を紹介。3月末時点で、目標の100自治体訪問を達成。これに対し、「今回の玄海町の動きとどのようにリンクしているのか」、といった質問が出た。さらに「今後、複数地域が異なるタイミングでプロセスが進む」可能性から、次の選定段階への判断ができるよう、国・NUMOに対し絞り込み基準などの早急な具体化を求める意見も出された。また、これまでに文献調査の応募を見送った自治体の前例も踏まえ、地域対立につながることなどを危惧し、慎重な対応を求める声もあった。

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