原子力産業新聞

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玄海町が最終処分地選定に向けた文献調査の受入れを表明

10 May 2024

石川公一

佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は5月10日、高レベル放射性廃棄物等の最終処分地選定に向けた文献調査の実施を受け入れると表明した。同町がこれに応募した場合、高知県東洋町(2007年に応募後、取り下げ)、北海道寿都町(2020年10月に応募、調査実施中)、同神恵内村(同時期に国から申入れ・受諾、調査実施中)に続くものとなる。

林芳正官房長官は、10日午後の記者会見で、今回の玄海町による判断に対し敬意・謝意を表した上、「最終処分という国家的課題に対し、社会全体で議論を深めていく上で、非常に重要な一石を投じるもの」と、その意義を強調。海外の処分地選定プロセス事例にも言及し、日本においても「文献調査実施地域の拡大が重要」と、引き続き全国規模で議論していく必要性を述べた。

地層処分事業実施主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)の近藤駿介理事長は、「最終処分は日本社会全体で必ず解決しなければならない重要な課題」との認識をあらためて示すとともに、引き続き「全国のできるだけ多くの地域に文献調査を受入れて欲しい」とするコメントを発表。また、電気事業連合会の林欣吾会長は、「発生者としての基本的な責任を有する立場から、国やNUMOとも連携しつつ、地域の皆様との対話活動を通じて、できるだけ多くの皆様との関心や理解が深まるよう取り組んでいきたい」とのコメントを発表した。

文献調査は、高レベル放射性廃棄物等の処分地選定に向け、最終処分法で規定された最初の段階。関心を示した市町村を対象として、地域の地質に関する文献・データについて机上調査。地域には2年程度の文献調査期間中、国から最大20億円が交付される。玄海町議会での文献調査受入れに係る請願採択を受け、1日には、資源エネルギー庁の松山泰浩次長(首席最終処分政策統括調整官)が同町を訪れ、脇山町長に申入れ文書を手交。7日には齋藤健経済産業相と脇山町長との面談が行われた。

*理事長メッセージは こちら です。

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