原子力産業新聞

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全原協総会が開催 政府関係者と意見交換

23 May 2024

石川公一

挨拶に立つ全原協・米澤会長

「全国原子力発電所所在市町村協議会」(全原協、会長=米澤光治・敦賀市長)の年次総会が5月22日、都内のホールで開催された。全国の原子力発電所などを立地する会員25市町村の首長らが一堂に会し、国に対して原子力・エネルギー政策に係る提言を行うもの。2024年度の活動として、「被災地の復興」、「安全規制・防災対策」、「原子力政策」、「立地地域対策」の分野で、計64の重点項目を掲げ、国・関係機関に要請していくことが了承された。

総会には、政府より、上月良祐・経済産業副大臣、本田顕子・文部科学大臣政務官、国定勇人・内閣府大臣政務官(原子力防災)他、原子力規制庁、国土交通省も含め、関係省庁の幹部らが出席。立地地域からの要望に対し回答に応じた。先週に始まった次期エネルギー基本計画の検討に関する質疑応答も多く、今後の議論に資するものとなりそうだ。

今回の総会では、元旦に発生した能登半島地震に鑑み、「原子力災害時に実効性のある対策が実行できるよう、原子力防災対策の検証と強化を図ること」が全原協の要請事項としてあげられた。立地地域からも関連の質疑が多く出され、大地震に見舞われた志賀町の稲岡健太郎町長は、大雪時の複合災害に伴う道路寸断などの影響も懸念した上で、「全国の原子力立地自治体共通の課題だ」と強調し、国による所要の財源確保を要望。石巻市の渡邉伸彦副市長は、最近、宮城県による実証試験が行われた「避難支援アプリ」など、原子力防災に資するデジタル技術の有用性について発言した。

先の玄海町による高レベル放射性廃棄物処分地選定に向けた文献調査応募に係る動きから、バックエンド関連の質疑も多く、来賓として訪れた地元の国会議員からは「全国レベルでの議論」を強く求める声や、各地の首長からは消費地域の政治家の出席を求める意見もあった。使用済燃料の中間貯蔵施設を立地するむつ市の山本知也市長は、2024年度上期に予定される同施設の稼働に関し、次期エネルギー基本計画への「使用済燃料の搬出先の明確化と長期的な再処理工場の考え方」明記とともに、法令で求められる災害発生時の応急対策拠点「オフサイトセンター」の早急な整備を要望。この他、再稼働の関連では、柏崎刈羽原子力発電所を立地する柏崎市の櫻井雅浩市長が、新潟県の技術委員会による議論などに鑑み、地元との安全協定の法的位置づけに関し国の考え方を質した。また、地域振興に関しては、東通村の畑中稔朗村長が、昨春に資源エネルギー庁が立ち上げた「原子力政策地域会議」の早期再開を求め、美浜町の戸嶋秀樹町長は、国の取組姿勢に理解を示しながらも「マイナスイメージが拡がる」ことに懸念を示した。

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