原子力産業新聞

国内NEWS

政府「新しい資本主義実現会議」 GX国家戦略策定へ

10 Jun 2024

石川公一

「新しい資本主義実現会議」で発言する岸田首相©Cabinet Public Affairs Office, Cabinet Secretariat.

政府の「新しい資本主義実現会議」は6月7日、実行計画の2024年改訂版案を取りまとめた。6月下旬にも閣議決定となる運び。「新しい資本主義」の実現は、2021年10月に発足した岸田内閣が「成長と分配の好循環とコロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトに目指した経済政策。「新型コロナというピンチをチャンスに変え、希望のある未来を切り開いていく」ことを目指し、有識者らによる「新しい資本主義実現会議」を同月に始動。当初のメンバーとして、産業界からは、現在、日本原子力産業協会会長を務める三村明夫氏(当時、日本商工会議所会頭)も参画し、国内サプライチェーン企業を代表して意見を述べてきた。

今回、2回目の改訂となる実行計画は、

  1. 中小・小規模企業で働く労働者の賃上げ定着
  2. 三位一体の労働市場改革の早期実行
  3. 企業の参入・退出の円滑化を通じた産業の革新
  4. 国内投資の推進
  5. GX・エネルギー・食料安全保障
  6. 資産運用立国の推進 

――などが主な柱。

GX・エネルギーについては、「安定的で強靭なエネルギー」の重要性を強調。「エネルギーの輸入によって海外に数十兆円が流出している現状は変えなければならない」とするとともに、「脱炭素化につながり、競争力強化に貢献するエネルギー構造に転換していくための国家戦略の策定・実行が不可欠」として、年度内を目途にエネルギー基本計画改定の議論を集中的に行うとした。その上で、同計画の裏打ちとして、前年に策定の「GX推進戦略」をさらに発展する内容として「GX国家戦略」を展開することを表明。

「原子力の活用」については、安全性の確保を大前提に原子力規制委員会の審査・検査により規制基準の適合が確認され、地元の理解を得た原子炉の再稼働を進めるほか、高速炉・高温ガス炉・核融合など、次世代炉の開発・建設に取り組むとしている。

cooperation