NUMO 玄海町で文献調査を開始
11 Jun 2024
原子力発電環境整備機構(NUMO)は6月10日、佐賀県玄海町において、高レベル放射性廃棄物等の地層処分地選定に向けた文献調査を開始した。5月10日、同町の脇山伸太郎町長が文献調査受け入れを表明。文献調査の実施は、2020年に開始された北海道寿都町・神恵内村に続き3件目。
文献調査は、処分地選定に係る最初の段階。関心を示した市町村を対象として、地域の地質に関する文献・データについて机上調査を行うもので、調査期間中、国から最大20億円が交付される。玄海町には原子力発電所が立地するが、同調査で放射性廃棄物は一切持ち込まれない。
同町では、4月より地元商工団体の要請を踏まえ、町議会で文献調査応募に係る議論がなされたほか、5月1日には資源エネルギー庁より申入れ文書が町長に手渡された。
新たな文献調査の実施に際し、NUMOの近藤駿介理事長はコメントを発表。「地層処分の技術・安全性を含む事業内容や文献調査の進捗状況・結果などを丁寧に説明しながら、地域の皆様の関心に丁寧に答えていく」としている。地層処分事業を実施する立場から、文献調査について、「最終処分施設建設地の選定に直結するものではない」と、あらためてその位置付けを強調。今後、玄海町では、北海道2町村での実績を踏まえ、地元との「対話の場」が開かれる見通し。NUMOでは引き続き、全国での対話型説明会開催や次世代層への啓発に向けた取組を通じ、理解活動に努めていく。
齋藤健経済産業相は、6月11日の閣議後記者会見で、文献調査を受入れた玄海町に対する敬意・謝意を述べた上で、原子力発電を利用した後の高レベル放射性廃棄物の処分問題に関し、「国家的課題だ」と、その重要性を強調。最終処分に関する検討が全国レベルで行われるよう、必要な情報提供を図っていく姿勢を示した。
なお、総合資源エネルギー調査会の有識者ワーキンググループでは現在、寿都町・神恵内村での文献調査取りまとめに向けた審議が行われているところだ。