原子力産業新聞

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齋藤経産相 柏崎刈羽の「必要性・意義」を強調

14 Jun 2024

石川公一

齋藤経産相(左から4人目)が花角新潟県知事(同3人目)より柏崎刈羽原子力発電所に係る要望書を手渡された

齋藤健経済産業相は6月14日の閣議後、東京電力柏崎刈羽原子力発電所に係る対応について記者団からの質疑に応えた。前日、花角英世・新潟県知事の他、自由民主党でエネルギー政策に係る細田健一衆議院議員らによる訪問を受けて、今後の再稼働を巡り、記者会見の中で質疑応答があったもの。花角知事からは東京電力に対する指導・監督の強化、原子力災害時の住民避難を円滑にするための避難道路整備などに関する要望事項が示されており、これまでも地元住民からは、元旦に発生した能登半島地震に鑑み、厳寒期の広域的な防災対策について不安の声が出されている。

齋藤経産相はまず、柏崎刈羽発電所の再稼働を巡り、「様々な懸念や不安の声がある」との現状認識をあらためて示した上で、今回の新潟県知事他による要望に対しては、「しっかりと受け止めて、今後あらためて回答したい」とした。その上で、今後も「地域の方々の理解が得られるよう、柏崎刈羽発電所の必要性・意義について説明を尽くしていく」と強調。防災対策については、「能登半島地震で得られた教訓を踏まえて、内閣府(原子力防災)と連携しつつ、地域の緊急時避難対応を取りまとめていく」と説明した。現在、新潟県では、柏崎刈羽発電所の再稼働に係る判断に向けて、県の技術委員会での議論が大詰めとなっており、東京電力や関係行政機関も説明に当たっている。会見の中で、齋藤経産相は、今回の知事との会談を好機ととらえ、「今後も様々な機会をとらえ直接コミュニケーションをとっていく。地域の実情を踏まえ丁寧に説明していきたい」と強調した。

なお、新規制基準適合性に係る審査をクリアした柏崎刈羽7号機について、東京電力では、燃料装荷を完了後、6月12日までに、健全性確認を一通り実施し原子炉の起動に必要な主要設備の機能が発揮できることを確認したとしている。また、一連の核物質防護に係る事案を踏まえ受け入れたIAEAによるエキスパートミッション(3月25日~4月2日)からも、6月6日公表の結果報告書の中で、「核セキュリティ文化を改善するために措置を講じている」と、高い評価が得られている。こうした事業者による取組に対し、齋藤経産相は、「安全性向上に向けて自律的な改善の取組を進めていくとともに、丁寧に地域・社会に説明して欲しい」と述べた。

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