電事連・林会長 今夏の電力ひっ迫を懸念
17 Jun 2024
2024年度供給計画における年間EUE算定結果
電気事業連合会の林欣吾会長は、6月14日の定例記者会見で、夏の電力高需要期に向けて、近年の需給ひっ迫の懸念を振り返り、「緊張感をもって、供給力の確保を万全のものとしていきたい」と、電力安定供給を担う事業者としての使命をあらためて強調した。
資源エネルギー庁が6月3日の総合資源エネルギー調査会会合で説明した今夏の電力需給対策によると、「全エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる」見通し。しかしながら、北海道、東北、東京の各エリアでは、7月の最小予備率が4.1%と低くなっており、特に東京エリアについては、運転開始から40年以上が経過した高経年火力プラントが供給力の約1割を占めるなど、供給脱落のリスクが高くなっている。
こうした状況を踏まえ、会見の中で林会長は、電力広域的運営推進機関(OCCTO)による今後10年間の「EUE」(Expected Unserved Energy)と呼ばれる分析結果を紹介した。「EUE」では、全国10エリアごとに、2024~33年度の各年間で停電がどれだけ発生する可能性があるかを確率論的に評価している。供給面における再生可能エネルギーの進展など、電源の多様化に伴い、需給両面での不確実性が高まり、各エリアで最大電力が発生する季節・時間帯の供給予備率だけによる需給リスク評価が困難となっていることから採り入れられた指標だ。それによると、沖縄を除く全国9エリアの合計でみた場合、2026年度以降は、供給信頼度の目標値が満たされず、「全国レベルで需給がひっ迫する懸念があり、決して予断を許さない状況」と、厳しい見方を示した。
その上で、現実的な需要想定と、それに見合うだけの設備運用を計画的に進め、エネルギーの安全保障の観点も含めた電源のバランスを考えていくことの重要性をあらためて強調。さらに、具体的な選択肢の一つとして、原子力の最大限の活用をあげ、再稼働しているプラントの安定稼働、BWRの再稼働加速化、将来に向けて、新増設やリプレースの必要性にも言及した。現在、再稼働している12基はいずれもPWRで、新規制基準をクリアしたBWRのうち、東北電力女川2号機(5月27日に安全対策工事完了)、中国電力島根2号機が、それぞれ2024年9月、12月に再稼働する見通し。