原子力産業新聞

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早大ほか 陽子線治療にも資するポリエステルの放射線発光を発見

03 Jul 2024

石川公一

陽子線照射中のポリエステル製Tシャツ画像化実験のイメージ

部屋着・運動着などを中心に、最近、綿100%製に替わり多く出回っているポリエステル製衣類に関連し、放射線治療の向上に資する研究成果が7月3日、早稲田大学らにより発表された。〈早大発表資料は こちら

医療現場において脱衣を求めることは、患者に羞恥をもたらすなど、昨今、様々な課題が指摘されている。早大他、神戸陽子線研究センター、東北大学、大阪大学による研究グループは、放射線照射治療の際、発光する生地・衣類を模索してきた。その中で、木綿では発光しなかったが、ポリエステル製の衣類ではよく発光することを解明。さらに、陽子線ビーム照射で発光しリアルタイムに画像化できることも確認した。

今回の研究では、アルファ線を種々の生地切片に照射することで、基礎的な性能を評価。その結果、ポリエステル製衣類では、木綿製などと比較し、10~20%の強度で発光することが明らかとなった。これをもとに、ポリエステル製のシャツなどを画像化実験材料として選択し、マネキン人形を用いて陽子線照射中の発光画像を高速高感度カメラで計測。その結果、陽子線ビーム照射中、衣服表面で、リアルタイムでの発光画像が得られた。ポリエステル生地は「柔らかく自在に曲がり、縫い合わせることで、任意の形状にすることが可能」との特性から、放射線治療を受ける患者にポリエステル製のシャツを着てもらうことで、患者表面の発光を画像化できる可能性が示されたとしている。

研究グループでは今後、ポリエステル製生地の素材特性の他、低コストの利点にも着目し、実用化に向けて、放射線照射発光の多い材料開発、陽子線以外の他分野利用なども見据え、さらに研究を進めていく考えだ。

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