放射線技師育成の大学が横須賀市に開学へ
12 Jul 2024
会見に臨む上地横須賀市長、森重中央医療学園理事長、鈴木YRP社長(左より)
放射線技師の育成・資質向上を目指す大学が2027年4月、横須賀市に開学する。〈発表資料は こちら〉
学校法人中央医療学園が運営する「中央医療技術専門学校」(東京都葛飾区)が企業の研究施設を擁する「横須賀リサーチパーク」(YRP)に移転し、「中央医療大学」(仮称)としてリニューアルするもの。
「中央医療技術専門学校」は、放射線技師育成に特化した専門学校として、60年以上の実績を持つ。夜間部を開設しているのも特筆される。医療技術は日進月歩で躍進し、昨今、「診療放射線機器類は、飛躍的な進歩をしており、診療放射線技師も知識および技術の習得にさらなる向上が求められている」ことなど、高学歴化が進みつつある背景から、中央医療学園では、2022年より横須賀市に対し大学進出の打診を行っていた。一方、YRPは、1997年に電波・情報通信を中心としたICT技術の研究開発拠点として、同市の他、郵政省(現総務省)、京浜急行電鉄の3者が一体となって開設。近年では、他業種も進出し、異業種間の連携・協業による新産業創出に期待が高まっている。
新たに開設される大学は、YRPに所在するNEC技術センターの土地・建物を利用するもの。2024年3月に中央医療学園とNECとの間で売買契約が締結された。今後は、2025年度にリニューアル工事を実施し、2026年夏に学生の募集を開始。2027年4月に開学となる運び。医療科学学部(仮称)下、診療放射線学科単科でスタートし、以降、放射線技術学科を併設する予定。
今回の開学決定に際し、7月10日、横須賀市の上地克明市長、中央医療学園の森重美三男理事長、YRPの鈴木茂樹社長が市役所内で記者会見に臨んだ。YRPでは、「市域を支える人材育成のための大学誘致推進」をビジョンの一つに掲げていた。大学進出に至った決め手として、同市の豊かな自然とYRPの静穏な学習環境、都心からのアクセスの良さ、学生にとっての暮らしやすさ、企業・研究機関との多様な連携への期待があげられている。
横須賀市は、ペリー来航のモニュメントを始めとする史跡の他、海軍カレーやネイビーバーガーなどのご当地グルメ、80年代を席巻したマリンルックといった若者を引き付ける魅力も多い。一方で、近年は人口減少の兆しがみられており、3月の定例市議会の所信表明で上地市長は、「もう到底抗うことはできない」と憂慮している。今回の新大学開学を通じ、医療福祉の充実とともに、将来の地域を支えていく若い理系人材を生み出す推進力となることも期待できそうだ。