敦賀2号機の審査 原電社長から意見聴取へ
01 Aug 2024
原子力規制委員会は7月31日の定例会合で、日本原子力発電敦賀発電所2号機(PWR、116.0万kW)の新規制基準適合性審査に関し、同社の村松衛社長らから意見聴取を行うことを了承した。〈規制委発表資料は こちら〉
同機の新規制基準適合性審査は、2015年11月に申請され、審査期間は既に8年を超えている。2022年1月、2023年8月には補正申請がなされ、その中で、地震・津波関係の審査に関して、「敷地内の『D-1トレンチ』内に認められる『K断層』の活動性および原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性」が論点となっていた。2024年7月26日の審査会合で、審査チームは、設置許可基準に照らし「適合しているとは認められない」と判断。これを受け、原電より、審査会合の結果を精査し追加検査を検討しており、補正申請を超える内容についても検討し、調査結果がまとまった時点であらためて審査を願う旨、申し出がなされた。
31日の定例会合では、原子力規制庁の内藤浩行安全規制管理官(地震・津波審査)らが、審査結果について説明。「K断層」の活動性、連続性ともに、「否定できていない」とした。これに関し、地震・津波審査担当の石渡明委員は、「K断層」の連続性評価に関し、地質学の一般論として「幅が広い大きな断層という特徴が調査フローに入っていない」と指摘。内藤管理官は「実際、目視で確認する中、非常に判断が難しい」などと述べた上で、安全サイドに立ち、総合的判断を行った経緯を説明した。この他、活動性評価に用いられた光ルミネッサンス年代測定法の信頼性など、調査手法に係る質疑もあったが、プラント審査を担当する杉山智之委員は、「明確な答えはまだわからないのでは」と述べ、さらに精査する必要性を示唆した。
原電社長を招く意見聴取は、8月2日に規制委臨時会合として公開の場で実施される予定だ。敦賀2号機の審査について、同委は、2023年4月に原電経営幹部と行った意見交換の中で、最新の補正書を「最後とする」方針を示している。今回定例会合終了後の記者会見で山中伸介委員長は、「次のステップとして原電から追加の調査、再補正をしたいという意見もあるので、社長の意見をあらためて聴いた上で、規制委としての方針を示したい」と述べた。
7月26日の審査会合の後、原電は、引き続き敦賀2号機の再稼働に取り組む姿勢を示している。同社は、2015年の新規制基準適合性に係る審査申請以前にも、海外有識者による国際的評価、規制委に対する意見書提出などを通じ、「敷地に分布する破砕帯は『将来活動する可能性のある断層等』ではない」ことを一貫して主張している。