原子力産業新聞

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第2回美浜エネルギー・キャンプ 全国から奨学生19名が参加

15 Aug 2024

竹原菜々子

電池推進遊覧船に乗船する参加者たち。

福井県美浜町で8810日、「美浜エネルギー・キャンプ2024」が開催された。3月の初回に引き続き、2回目の開催となる今回は、一般財団法人教育支援グローバル基金が支援する全国の奨学生19名(高校生13名、大学生6名)が参加した。現地では、福井南高等学校・浅井ゼミ(浅井佑記範教諭)の生徒や、ボランティアで参加した大学生らが行動を共にした。

教育支援グローバル基金は、親との死別・離別などの困難を経験した若者たちを、奨学金支給や人材育成プログラムの開催を通じて支援する非営利組織。今回の美浜エネルギー・キャンプは、リーダーシップ育成を目的に同法人が主催する4泊5日の宿泊型研修「サマー・リトリート2024」[1]一般財団法人教育支援グローバル基金が2017年以来計6回開催している宿泊型研修で、今年は石川県および福井県で開催のプログラムの一環として開催された。

参加者たちは、美浜町で過ごす3日間の日程の中で、関西電力・美浜原子力発電所の見学や、電池推進遊覧船の乗船体験、エネルギー環境教育体験館「きいぱす」[2]日本で唯一、エネルギー環境教育に特化した体験館で、廃校となった小学校を再利用し、2017年に美浜町営の施設として開館での体験学習などを行い、エネルギー生産地の現状への理解を深めた。各施設では、メモを取りながら担当者の説明に真剣に耳を傾け、積極的に質問を投げかける参加者たちの姿が見られた。

丹生公民館で参加者たちに向けて講演を行った美浜町エネルギー政策課・上野和行課長は、「(美浜エネルギー・キャンプで)見聞きしたことや経験したことを、みなさんがどのように噛み砕き、理解するかが重要。今回の研修をきっかけに、エネルギー問題など、今自分たちが直面している問題について、『どうしたら良いか』ということを考えられるリーダーになってもらえたら」と期待を込めた。

また、美浜町の戸嶋秀樹町長も来場し、参加者と懇談。戸嶋町長は、「エネルギーは、国の根幹をなす重要な資源の1つであり、エネルギー問題に向き合う今回のような機会は、非常に意義があるもの」と話し、国のエネルギー政策や、美浜町の「エネルギーと共生する町づくり」に向けての取り組み、その重要性などを紹介。また、「原子力発電所は世界に数多くあるが、美浜の発電所は自然景観と調和しており、夜景がきれい」と、町の魅力をPRした。

キャンプに参加した奨学生たちからは、「発電所が安全面に非常に気を遣っていたことが印象的で、発電する側の苦労を初めて知ることができた」「日々の生活の中で、想像以上にエネルギーを消費していることを知った。また、発電体験を通して発電の大変さを実感し、節電に気を付けようと思った」「今までエネルギーについては考えたことがなかったが、『きいぱす』での体験学習は楽しかった。学校の授業も、こんな感じだったらみんな興味を持つと思う」などの感想が聞かれた。

今回のキャンプにボランティアで参加し、奨学生たちの美浜での活動をサポートした島根県内の大学生は、「エネルギーは、社会や理科など、幅広い分野が関わっており、議論が活発になるという点が魅力。今回のキャンプを通じて、エネルギーについて考えたり、意見交換することの楽しさを実感してほしい」と話した。また、日頃から原子力や地層処分に関する社会課題に取り組む浅井ゼミの生徒は、「今回参加している奨学生の多くは、電力生産地以外の地域から来ており、今までエネルギーについて考えたこともなかったという子も少なくなかった。美浜町でエネルギー生産地の現状を学んだことが、たとえば原子力発電所に賛成・中立・反対など、エネルギーについて何か自分の意見を持つきっかけになってもらえたら嬉しい」と語った。

脚注

脚注
1 一般財団法人教育支援グローバル基金が2017年以来計6回開催している宿泊型研修で、今年は石川県および福井県で開催
2 日本で唯一、エネルギー環境教育に特化した体験館で、廃校となった小学校を再利用し、2017年に美浜町営の施設として開館

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