大学発ベンチャー表彰決定 医療関係の受賞が注目
23 Aug 2024
大学発ベンチャー表彰特別賞を受賞したリンクメッド社による「がんの可視化と高い治療効果」
政府は8月22日、2024年度の「大学発ベンチャー表彰」受賞者を発表した。同表彰制度は、大学・研究機関における研究成果を活用し起業したベンチャーの中から、今後の活躍が期待される優れた取組を称えるもので、2014年度より行われている。
今回は、大学発ベンチャー表彰特別賞の一つとして、リンクメッド社による「革新的『見える』がん治療薬の事業化による難治性がん克服への挑戦」が選定された。同社は、量子科学技術研究開発機構(QST)が開発したCu64(放射性銅)による「がんの可視化」を応用し、薬剤から放出される放射線を特定しがんの位置を特定する「診断」とともに、Cu64による「オージェ電子の治療効果」から、「高い効果と低い副作用の治療」の実現に向け、社会実装を進めている。
健康長寿社会に対する関心の高まりから、今回は、医療関係の受賞が注目される。例えば、経済産業大臣賞には、ソニア・セラピューティクス社による「膵がんを始めとする難治がんに対する新たな治療モダリティとして次世代型集束超音波治療装置実用化」が、日本ベンチャー学会会長賞には、トレジャムバイオファーマ社による「歯の再生治療薬の開発」が選定。トレジャムバイオファーマ社は、京都大学発のベンチャー企業で、歯の再生治療薬の開発を通じ、先天的な理由で永久歯の一部がない患者の歯の回復とともに、今後は永久歯喪失後も「第3の歯」を再生することで、味覚や美容など、QOLの向上にも寄与する社会実装を目指している。