原子力産業新聞

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岸田首相 柏崎刈羽再稼働に本腰

28 Aug 2024

石川公一

柏崎刈羽原子力発電所全景

政府の「GX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議」(議長=岸田文雄首相)は8月27日、GX加速に向けた日本におけるエネルギー安定供給の再構築に係る議論の中で、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関し、対応策の具体化を図っていくことを了承した。現在、同7号機の再稼働に向けて、新潟県主催の県民説明会が開催されるなど、地元の判断が焦点となっている。

「GX実行会議」は、2050年カーボンニュートラルの目標達成に向け、「産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体の変革」を図ることを標榜。必要な施策を検討すべく、2022年7月に始動し、これまで計12回の会合を開催し、関係閣僚他、有識者との意見交換を通じて議論を深化。ロシアによるウクライナ侵攻に起因する石油・ガス市場の混乱など、世界情勢を背景に、2022年8月の第2回会合では、福島第一原子力発電所事故以降の国内におけるエネルギー政策遅滞を課題として、「原子力政策の今後の進め方」を提示。新規制基準に係る原子炉設置変更許可が発出済の7基(関西電力高浜1・2号機、東北電力女川2号機、中国電力島根2号機、東京電力柏崎刈羽6・7号機、日本原子力発電東海第二)の再稼働を加速していく方向性が示された。

8月27日の会合で、岸田首相は、近く見込まれる退陣に言及した上で、GX前進に向けて「東日本における原子力発電の再稼働の準備」を残任期間の重要な職務の一つとして強調。東日本における電力需給の実態に関し、「東京湾や太平洋岸に集中する火力発電に7割近くを依存し、災害リスクに脆弱だ」としたほか、「再稼働が進んでいる西日本に比べ、電力料金の東西格差も生まれている」とも懸念。こうした状況を踏まえ、岸田首相は、柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に関して、来週にも原子力関係閣僚会議を開催し「対応策の具体化に向けて確認と指示を行う」と述べた。

実際、資源エネルギー庁が6月に取りまとめた今夏の電力需給対策によると、東京エリアの火力発電は、運転開始から40年以上を経過した高経年プラントが約1割を占めているほか、東京湾岸に計約3,000万kW相当が集中し、「トラブル停止のリスクが高い」とされている。猛暑に見舞われ冷房使用に伴う電力需要が急増している今夏、東京電力の「でんき予報 最大電力実績カレンダー」によると、7月29日14~15時には、同社管内で5,699万kWの最大電力需要を記録した(当日埼玉県熊谷市では最高気温40.0℃を記録、昨夏の最大電力需要は7月18日14~15時の5,525万kW)。

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