六ヶ所再処理工場の竣工目標「2026年度中」に
30 Aug 2024
六ヶ所再処理工場全景
日本原燃は8月29日、六ヶ所再処理工場、MOX燃料工場の竣工目標を、それぞれ「2026年度中」、「2027年度中」に延期することを発表した。
同社はこれまで、六ヶ所再処理工場は「2024年度のできるだけ早期」、MOX燃料工場は「2024年度上期」を竣工時期として、設備工事計画認可の審査、工事、検査に取り組んできたが、23日に、「2024年9月以降も審査への対応が継続する」と判断。原子力規制委員会の審査会合を踏まえ、新たな竣工目標について検討するとしていた。
29日、両工場の竣工時期変更について、同社より報告を受けた青森県の宮下宗一郎知事は、度重なる延期から、「新たな工程を示しても信頼できない」と非難。六ヶ所村の戸田衛村長は、「地域の経済対策、地域振興など、関係するすべての対策に万全を期すこと」と要望。日本原燃の増田尚宏社長は同日、臨時記者会見を行い、「知事、村長の言葉をしっかりと受け止め、新たな竣工目標に向けて、全力で取り組んでいく」と述べた。
新たな竣工目標の決定を受け、電気事業連合会の林欣吾会長は、コメントを発表し、「ウラン資源の有効活用、廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から極めて重要」と、核燃料サイクルの意義をあらためて強調。その上で、「引き続き、安全を最優先に早期竣工と審査・検査の円滑な対応に向け、一層日本原燃をオールジャパン体制で支援していく」としている。
六ヶ所再処理工場、MOX燃料工場は、それぞれ1993年、2010年に着工。東日本大震災をはさみ、新規制基準への適合性審査は、いずれも2020年に事業変更許可(原子力発電所の審査でいう、原子炉設置変更許可に相当)に至った。六ヶ所再処理工場の竣工延期は、今回で通算27回目。続く審査対応については、原子力発電所と異なり、前例がなく、対象となる機器が約2万点と、極めて膨大なことなどから、長期化している。原子力規制委員会前委員長の更田豊志氏は、在任中、「非常にチャレンジングな審査だ」と述べていた。
30日に行われた総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、委員として出席した福井県の杉本達治知事は、エネルギー基本計画見直しにおいて、原子力政策の明確化を求める中、六ヶ所再処理工場の竣工延期に関し、「国が講じるべき施策を具体的に示す必要がある」と強調した。福井県内では現在、7基の原子力発電プラントが稼働中だ。