原子力産業新聞

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規制委 原子力災害時の屋内退避で中間まとめ

21 Oct 2024

石川公一

原子力規制委員会の検討チームは10月18日、原子力災害時における屋内退避の運用について、中間まとめを示した。

これまで、放射性物質の放出に伴う住民避難など、防護措置の目安について記載した原子力災害対策指針では、外部被ばくを避けるため、UPZ(原子力施設から概ね5~30km圏内)の住民は屋内退避するとされていたが、その解除に関しては示されていなかった。能登半島地震の発生により、複合災害や厳冬期の対応に係る不安も高まり、規制委では4月より効果的な運用に向け、専門家も交え検討を開始。福島第一原子力発電所事故を踏まえた新規制基準で要求される重大事故対策の有効性を前提に、原子力災害の事態進展を、「炉心損傷防止ケース」、「漏えいケース」、「ベントケース」の3つに分類し、OSCAARと呼ばれる解析コードを用いて線量評価のシミュレーションを行った。

今回の中間まとめでは、重大事故対策が成功したと判断される原子炉の状態、屋内退避の開始および解除の判断、その継続および避難への切替えなどを、7つの合意事項として整理。屋内退避を続ける期間については、全面緊急事態に至ってから、3日間を目安としている。避難への切替えは、地方自治体からの情報提供などを踏まえ、国が総合的に判断するものとした。

福島第一原子力発電所事故時には孤立住民が問題となり、昨今は新型コロナに伴い密室における感染症対策にも関心が高まっている。合意事項では、屋内退避実施中の考慮事項として、「被ばくを直接の要因としない健康等への影響を抑えることも必要」と指摘。住民に対し、先行きに関する状況が把握できるよう、原子炉施設の状態、緊急時モニタリングの情報、生活維持に係る情報(支援物資の配給、電気・ガス・上下水道の復旧など)をわかりやすく提供する必要性を述べている。

検討チームでは今後、地方自治体からの意見も聴取し、年度内を目途に最終報告書を取りまとめる予定。

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