原子力産業新聞

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革新炉WGが10か月ぶり開催 核融合など議論

23 Oct 2024

石川公一

総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループ(座長=斉藤拓巳・東京大学大学院工学系研究科教授)が10月22日、およそ10か月ぶりに会合を行い、次世代革新炉の開発・建設に向けた取組状況と課題について議論した。〈配布資料は こちら

同WGは、政府によるGX推進の方針が示された後、2022年11月、「カーボンニュートラルやエネルギー安全保障の実現に向けた革新炉開発の技術ロードマップ」の素案を提示。革新炉開発について、革新軽水炉、小型軽水炉、高速炉、高温ガス炉、核融合の5炉型に分類した上で、その評価軸として、技術成熟度・時間軸、サプライチェーン、市場性、非エネルギー分野への波及効果などを示し、さらに深掘りを進めていくこととなった。WG上層に位置する原子力小委員会でも随時議論された後、前回、2023年12月の会合では、次世代革新炉のうち、高速炉・高温ガス炉の実証炉に係るサプライチェーン・人材確保の検討課題を整理。「各実証炉の司令塔組織の具体化に向け、必要な機能やチーム組成の検討を進める」こととされた。

今回のWG会合では冒頭、前任の黒﨑健委員(京都大学複合原子力科学研究所教授)を引き継いで座長に就任した斉藤氏が挨拶に立ち、「原子力発電の新たな社会的価値を再定義し、わが国の炉型開発につながる道筋を示す」と、あらためて意義を述べ議論に先鞭。資源エネルギー庁は、前回以降の原子力をめぐる動きについて説明し、5月に開始したエネルギー基本計画見直しを始め、脱炭素電源として、既存炉の再稼働を着実に進めていくことを第一に、次世代革新炉への建て替え具体化を検討していく必要性を述べた。

内閣府(科学技術政策)で産業界協力や規制対応について検討が始まった核融合エネルギーの社会実装が、今回の会合では焦点となり、関連企業・機関75社により3月に設立された「フュージョンエネルギー産業協議会」会長の小西哲之氏が専門委員として出席し発言。同氏は、脱炭素時代における主要なエネルギー源として、核融合の有用性を強調。2030年代の発電実証に向け、海外・ベンチャーの開発競争の状況を紹介したほか、各プラズマ閉じ込め形式の実現ロードマップおよび課題を示した。特に、産業創出に向けては、早期実現を図るための具体的計画・推進体制、サイト選定、規制・法体系の整備、国際協力の観点から、国による支援強化を要望。ITER計画で適用されるトカマク以外の、ヘリカル、レーザーの各プラズマ閉じ込め方式についても、今後の技術課題・実現の見通しを整理した。

また、原子力規制委員会では、3月より原子力エネルギー協議会(ATENA)他、事業者の原子力部門責任者(CNO)との意見交換の中で、実現性の高い革新軽水炉の一つとして注目される「SRZ-1200」(三菱重工業他)の規制基準に関し、議論が開始している。専門委員として出席した日本原子力産業協会情報コミュニケーション部の大野薫氏は、検討スケジュールとともに、「HI-ABWR」(日立GE)、「iBR」(東芝エネルギーシステムズ)など、他社の技術動向についてもロードマップへの記載を求めるとともに、政府に対し、革新軽水炉の技術開発と導入促進に向けた積極的な経済的支援の検討を要望した。〈発言内容は こちら

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