原子力産業新聞

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総合エネ調原子力小委 地域共生など議論

01 Nov 2024

石川公一

総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=黒﨑健・京都大学複合原子力科学研究所教授)は10月30日、立地地域との共生・国民各層とのコミュニケーション、次世代革新炉の開発・建設、ウラン燃料のサプライチェーンに関する取組について議論した。〈配布資料は こちら

前回、16日の会合では、核燃料サイクルを中心に議論。一週おいての開催となった今回会合の冒頭、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長の久米孝氏は、引き続き「原子力政策をめぐる諸課題」について、有意義な議論がなされるよう期待を寄せた。

資源エネルギー庁は、最近の原子力動向・課題・論点に関する整理の中で、10月29日晩に原子炉起動に至った東北電力女川2号機についても言及。2013年の新規制基準施行後、東日本およびBWRプラントとしては初めての再稼働となったことから、「非常に意義深い」ものと述べた。同機については、11月上旬の発電再開を想定し、各種検査・試験などが進められている。〈東北電力コメント、電気事業連合会会長コメント

立地地域との共生に関しては、福井県、青森県について、それぞれ2021年6月、2023年11月に、関係自治体・行政機関、電力事業者の参画する「原子力発電所の立地地域の将来像に関する共創会議」が始動。今回の原子力小委員会会合の翌日、2024年10月31日には、青森県について、「地域の将来像の実現に向けた基本方針と取組」および工程表が取りまとめられ、今後、その具体化に向け、ワーキンググループ・立地市町村も含めた検討会が立ち上がることとなった。

資源エネルギー庁は、今後の論点として、立地地域の持続的発展とともに、防災体制の充実・強化に向けた取組を進めていく方向性を提示。実際、2023年4月に始動した国と全国原子力発電所立地市町村協議会(全原協)が中心となって意見交換を行う「原子力政策地域会議」では、立地地域共通の課題として、避難道路の整備など、防災対策の充実があげられている。

こうした状況に関し、杉本達治委員(福井県知事)は、今回、書面により意見を提出。その中で、最近の福井県議会による「安全・安心に避難するための道路整備がなされなければ、国の原子力政策に協力できない」との指摘をあげ、原子力防災対策について、実効性ある取組が次期エネルギー基本計画に明記されるよう求めた。

また、防災医療の立場から、越智小枝委員(東京慈恵会医科大学教授)は、福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえ、災害時の情報発信、広域の搬送体制も含む医療との連携について検討する必要性を指摘。

国民への理解活動の一例として、資源エネルギー庁は、若年層向けのYou Tube広告「metichannel」に、2022年11月以降、累計1億回を超す再生の成果を強調したが、メディアの立場から、伊藤聡子委員(フリーキャスター)は、「新規制基準により、何がどう安全になったのか、よく理解されていない。率直な疑問に対し、『目線を降ろした丁寧な説明』が必要」と、改善の余地を示唆した。

次世代革新炉の開発・建設については、原子力小委員会のもと、2024年10月22日に行われた革新炉ワーキンググループ会合での意見を整理し議論。ウラン燃料の確保については、欧米のウラン燃料支援に係る動向などを踏まえ、「同志国間での安定的・自律的なウラン燃料のサプライチェーン確保に向け、積極的に貢献していくことが重要」との方向性が資源エネルギー庁より示された。竹下健二委員長代理(東京科学大学名誉教授)は、核燃料サイクルの技術的観点から、世界のウラン燃料需給バランスの問題に言及し、西側諸国と連携したウラン濃縮の拠点を構築することを提案。

専門委員として出席した日本原子力産業協会の増井秀企理事長は、現在、六ヶ所村で操業中のウラン濃縮に関し「オールジャパンで開発されたものであって、非常に優れたもの」と、日本の技術力を評価。さらに、「技術をサプライチェーンとともに維持していくことは、わが国のエネルギーセキュリティ戦略として極めて重要」と述べ、国における必要な支援を求めた。〈発言内容は こちら

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