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前原子力規制委員・石渡氏 新知見を活用する重要性を強調

20 Nov 2024

石川公一

前原子力規制委員・石渡氏(左)

原子力規制委員会の委員を2期10年間(2014年9月~2024年9月)務めた石渡明氏が11月18日、日本記者クラブで記者会見を行い、自然ハザードに対する同委の対応を振り返るとともに、元旦に発生した能登半島地震で得られた知見、今後の原子力規制行政に係る課題について意見を述べた。

同氏は、委員在任時、地震・津波関連の審査を担当。最近、11月13日に新規制基準適合性に係る審査で「不合格」となった日本原子力発電敦賀発電所2号機の「審査書案」取りまとめや、2023年に「GX脱炭素電源法」検討の中、原子力発電所の60年超運転も視野に入れた規制制度の見直しに関して、委員の中でただ一人反論するなど、現行の原子力規制行政のあり方に対し頑なに厳しい態度を示してきた。

石渡氏は、東日本大震災時、東北大学に在任。現地調査を踏まえ、「津波引き波」、「津波火災」など、津波被害対策の重要性を強調。当時の経験が、原子力規制委員会委員を引き受ける上で「大きな比重になった」という。

福島第一原子力発電所は過酷事故に至ってしまったが、石渡氏は東北電力女川原子力発電所に関して、敷地高さ15mに対し、実際の津波高(13m)は「地震により1m地盤が沈降したため正にギリギリだった」と説明。

活断層に関して、石渡氏は、これまでの審査から、「上載地層法」と「鉱物脈法」による判断を技術的見地から紹介。新規制基準を初めてクリアした九州電力川内原子力発電所1・2号機を例に、設置変更許可後、2016年4月に発生した熊本地震(M7.3)の経験などを踏まえ、自然ハザードへの対応に関し、「不確定さが大きい」と述べ、新たに得られた知見に対し現行の規制要求でも満足することを確認する「バックフィット」の重要性を強調した。

石渡氏は、地質学、岩石学、地球化学が専門。委員在任時、会合の中で、「令和3年台風10号」が宮城県に上陸した観測史上初の台風であったことを指摘し、自然ハザードに対する議論を随所で喚起するなど、いわば「理科年表」的な存在でもあった。今回の会見の中で、同氏は、能登半島地震について、委員退任も近くなった8月の現地調査を振り返り、4mもの隆起があった地盤変動に関し、「関東大震災の隆起1mに比しても非常に大きな地殻変動。こんな状況を生きている間に目にするとは思わなかった」と強調。今後の原子力規制行政に向け、「日本は自然ハザードが起きやすい。絶えず改善していく必要がある」と述べた。

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